片田舎のおっさん、剣聖になる~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~(感想レビュー)
世の中には「なぜ!?」と不思議に思うほど、無名のままスゴイ才能を持っている年配の人がいます。
例えば番組ブリテンズ・ゴット・タレントに出場したスーザン・ボイル(当時47歳)。
長年、歌手を志していて夢はプロ歌手になること。
「レ・ミゼラブル」の夢破れてを披露すると、どうしてこの才能が埋もれていたのか!?と思うほどの歌唱力で絶賛され、プロ歌手になりました。
漫画「片田舎のおっさん、剣聖になる~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~」も、おっさんになってからその才能を世に知らしめる物語です。
しがない田舎の道場の先生、ベリル。
元弟子・アチューシアがレベリオ騎士団団長になって訪れます。
「我々、レベリオ騎士団の指南役を先生にお願いしたいのです」
(大出世には違いないが、俺に務まる役じゃない、、、)と本人が思っているだけで、実はスゴイ実力の剣士。
元弟子達はスゴ腕の剣士としてベリルを敬っていますが無名の剣士です。
ショボイおじさんにしか見えないベリル。
レベリオ騎士団の副団長・ヘンブリッツ・ドラウトは、かつての師に団長が推薦をせがまれて仕方なく指南役にしたのではと疑い、模擬戦を申し込みます。
しかし、ベリルが剣を構えると人が変わったように!
そのギャップが面白い。
元弟子でレベリオ騎士団団長のアチューシアが指南役に推薦したのも、師匠のベリルがスゴい剣聖なのに誰も知らないのが悔しいからでした。
もっとみんなに知ってもらいたい!という推し活的な感情は、わからなくもないです。
2巻、元弟子で最強の冒険者になったリサンデラから、若手冒険者の育成を頼まれるベリル。
冒険者としての力量を見極めるため、リサンデラと手合わせすることなりギルドは賭けで盛り上がります。
迷宮攻略に向かった若手冒険者たちと、付き添いのベリルとリサンデラは、グリフォンのなかでも強力な個体、ゼノ・グレイブルに出会いピンチに陥ります。
剣アクションに迫力があり、且つわかりやすく描写されていて面白いです。
3巻、騎士・クルニの悩みを聞き、ベリルは鍛冶屋・バルデルへ連れて行き剣を変えては?とアドバイスします。
バルデルはリサンデラからゼノ・グレイブルの鉤爪を預かっていて、それでベリルの剣を新調するよう言われており、魔物の剣でベリルはまだまだ強くなれる可能性を示唆します。
ゼノ・グレイブルの討伐の際に、ベリルの実力に対し剣がショボイことが描かれており、クルニへのアドバイスは、まんまベリル自身にも言えることでした。
他人にアドバイスはできるのに、自分に必要なことがわからないことってあるよね〜。
ツッコミどころが満載で面白い演出です。
4巻、ベリルにスリを働いた少女・ミュイ、盗んだ金は盗賊団・宵闇に納めていると聞き、魔法師団長とベリルは出向きます。
レベリオ騎士団の副団長・ヘンブリッツはベリルに稽古をつけてもらい、実力をアップしていきます。
ベリルは大成した弟子達に比べて、自分はずっと田舎で引きこもりの役立たずと感じていました。
しかし、バーで出会った人から「あんたは引きこもってったんじゃない。準備してたのさ。いつかまわってくる役目のためにな」
たったひと言で、価値観が変わった瞬間です。
その言葉を受けて、自発的に行動していく変化が現れます。
ベリルも変わりたいと思っていて、だけどずっと変われなかった人が変わるのは難しい、、、ところへ弟子達の助力があり変わっていきます。
そうしたベリルと元弟子達の関係の描かれ方も面白いです。
ベリルも若い頃に助け合える同士がいたら今と何かが変わっていたのでしょうか。
5巻、盗賊団・宵闇にスフェン教のバルトレーン教会レビオス・サルレオネ司教が絡んでいるらしいことが判明します。
サルレオネ司教は私兵・教会騎士団を持っていて、騎士のひとりに「騎士狩り」と呼ばれる連続殺人鬼がいて強敵です。
ベリルとバルトレーン教会騎士団は対決する!?
指南役に抜擢されてから、どんどん展開していき、あっという間の5巻。
面白くておすすめの漫画です。
ベリルの若い頃に何があったのか?
少しづつ描かれていきますが、まだまだ何があったかわかりません。
ベリルの父親も相当強い人のようですが、詳細はまだ明かされていません。
そうした謎も今後の楽しみです。
ベリルの父親は孫が見たいから嫁を見つけてこい、と言っていて、ベリルが田舎に戻るには嫁が必要みたいです。
5巻になっても、ベリルに恋愛のレの字も見られませんが、この先どうなるのか。
何かの褒章として王命により嫁をもらいそうな気もします。