映画『マスターズ・オブ・ユニバース』なぜ人気があるのか?声優は? スケルターの正体やグレイズカル城がドクロな理由を解説
Amazon Prime Videoで配信スタートした映画『マスターズ・オブ・ユニバース』
「めちゃくちゃ人気があるらしいけど、人気の理由がイマイチわからな」と思っていたのですが、観てみたら大まかに理解できた気がします!
ドルフ・ラングレン主演の『マスターズ/超空の覇者』(1987年)以来、39年ぶり二度目の実写映画化。作中でドルフ・ラングレンが登場した瞬間は、思わず声が出ました!ただ、主人公の父親役(ランドール国王)ではなかったのが残念。威厳ある父親役としてバトンタッチしてほしかったところです!
今回紹介する映画
心に残る名言:子供時代のアダムとダンカンの関係
本作で特に印象的だったのが、幼少期のアダム王子のエピソードです。
幼いアダムは、師であるマン・アット・アームズ(ダンカン/イドリス・エルバ、CV:東地宏樹)から厳しい訓練を受けていました。「こんなに幼い王子にそこまでさせる?」と思いつつ観ていると、息子の訓練態度に不満を覚えた父・ランドール国王が自ら手合わせをすることに。
しかし、アダムはあっという間に父親に倒され、「弱者に居場所はない」と冷たく言い放たれてしまいます。厳しすぎる父親にショックを受けるアダム。そんな彼に、ダンカンは優しくこう語りかけるのです。
「倒れた時は、大きく立ち上がるチャンスだ。いいな、屈していない姿を見せるんだ」
不屈の精神を説くダンカンの言葉。子供の頃に大人から掛けられた言葉って、大人になってもずっと心に残っていたりしますよね。アダムにとっても、このダンカンの言葉がその後の人生を支える大きな糧になります。
……と、子供時代にはあんなに頼もしくてカッコよかったダンカンですが、15年後の現代で再会した彼はすっかりやさぐれてしまっているという凄まじいギャップ! 時の流れは残酷ですがリアルな人間臭さがあって妙に納得してしまいました。現実でも「あんなに立派だった人が数年後には……」なんてこと、たまにありますよね?
オタクの脳内を覗いているような怒涛の展開!
惑星エターニアが宿敵スケルター(ジャレッド・レト / CV:杉田智和)に攻め込まれ、幼い王子アダムは地球へ脱出します。
大人になったアダムは記憶を頼りに「力の剣」を探しつつ、とある会社の人事部として働いていました。……って、15年も探していただけ!?周囲からは「痛い剣オタク」だと思われて誰も信じてくれません。
ある日、ようやく「力の剣」を見つけるのですが、その場所がなんとコミックショップ! 海外ドラマ『ビッグバン★セオリー』に出てくるようなマニアックなお店です。「なんでそんなところにあるの!」とツッコみたくなりますが、貴重なフィギュアや価値の高いコミックが眠る場所なので、「力の剣」が見つかるのに相応しいオタク心くすぐる演出。ユーモアがあってB級感が一気に増します。
-
「ハイランダー気取りかよ」(剣といえば名作映画『ハイランダー 悪魔の戦士』!)
-
絶妙なタイミングで流れるSnap!の名曲「The Power」など
そして極めつけは、幼馴染・ティーラが美女になってアダムを迎えに来る!
まさにオタクが夢に見るような憧れのシチュエーションが盛りだくさん。
アダムの「ほら!本当だって言っただろう!!」のセリフは妄想が現実となったオタクの勝利宣言にも聞こえます。
舞台が惑星エターニアに移ると、全体に80年代風のSF感(主に『スター・ウォーズ』)が漂い、これまたオタク全開の世界観が広がります。
主人公「ヒーマン(アダム)」の起源とは?
そもそも「ヒーマン」は、1981年のオリジナルおもちゃ展開から始まった大人気キャラクターとのこと。 マーク・テイラー(T. Mark Taylor)氏がコンセプトデザインを手掛け、中世ファンタジーとSFが融合した独特の世界観として形作られました。
アダムが剣を発見するコミックショップにあった大きなフィギュアは、初期のヒーマンのコンセプト画にそっくりなのだそう。映画『コナン』のオマージュと感じる人も多いようですが、一説には「もともと映画コナンの公開に合わせて作られた玩具だった」という噂もあります。
長年の人気キャラクターだけに、知っている人にしかわからない超マニアックな演出もこの映画の大きな魅力。ネット上でファンの考察や交流が活発に行われるのも納得です。
なぜ敵のスケルターは攻めてきたのか?
顔は骸骨なのに体はめちゃくちゃマッチョでかっこいい悪役、スケルター。「青い肌と骸骨の頭部を持つ邪悪な魔法使い」というキャラクターで、「スケルターのスピンオフが見たい!」と言われるほどの人気ぶりには私も大賛成です。

ただ、映画だけだと「なぜ攻めてくるのか?」が「剣が欲しいから」くらいにしか読み取れず、少し物足りなく感じました。気になって調べてみると、2002年版の設定で「スケルターはアダムの叔父であり宿敵」という事実が追加されたとのこと。 なるほど、アダムと同じマッチョ体型とは感じていましたが「親戚」と分かればめちゃくちゃ頷けます。
ファンなら誰もが知っている前提で説明が省かれていたのかもしれませんが、初見ユーザーにはちょっと厳しい!「叔父ってことは、元は人間だったの!?」とさらに謎が深まります。
詳しく深掘りすると、スケルターは元々「ケルドール」という人間の叔父でした。戦いで瀕死の重傷(顔に酸を浴びる事故)を負った際、悪の支配者「ホルダック卿」に救われたことで、現在の青い肌と頭骨の姿へと変貌したのだそうです。……設定が濃い!
「我が手にパワーを!」39年前と衣装の違い
力の剣で変身したアダムは、自動的に身体がマッチョになり、髪もセットされ、露出度の高いグラディエーター風の衣装へチェンジしました。
1987年版『マスターズ/超空の覇者』のドルフ・ラングレンは乳首全開で下半身の露出度も凄かったのですが、今作のアダムは胸元が隠れ腰巻をしたファッションに。「現代の配信基準(BAN対策)に合わせたのかな?」と思いきや、実は、1983年の最初のテレビアニメ『ヒーマンとマスターズ・オブ・ユニバース』の衣装を忠実に再現したものでした。ドルフ・ラングレンのかなり攻めたデザインは、元があるちゃんとした衣装だったことに驚きです。
また、アダムが地球の人事部で働いていた経験を活かし、話し合いで解決しようとしたり「みんなで協力しよう」と説得する姿には、「力任せではない現代的なヒーロー像」を感じました。
しかし!これも調べてびっくり。1983年のオリジナルアニメ版でも、物語のラストにアダム(ヒーマン)が視聴者の子供たちに向けて「今日の道徳(Moral of the day)」を語りかけるミニコーナーがあり、「話し合おう」「協力しよう」というメッセージは昔からヒーマンの核にあった要素だったそうです。 その伝統的な設定を「地球の人事部としてのキャリア」という現代的な設定に落とし込んでいるセンスよ。
衝撃!なぜ正義の城が「骸骨デザイン」なのか?
一番困惑したのが、正義の味方であるアダムたちの拠点「グレイズカル城」のデザインです。スケルター(骸骨)が建てた城なら納得ですが、攻め込まれる前からなぜ骸骨デザインなのか……?
このややこしいデザインの理由を調べたところ、玩具開発時の歴史に辿り着きました。
もともとマーク・テイラー氏による初期コンセプトは「魂の住処」というアイデアで、1933年の映画『キングコング』の髑髏島(スカル・アイランド)の影響を受けたものだそう。当時は「正義の味方の拠点」という明確な設定が決まっていなかったため、初期の玩具パッケージの箱絵では、なんと悪役のスケルターが城の中に立っている構図で描かれていたのです。
最初は「悪役の城」としてデザインされたものが、後から物語が作られる中で「正義の味方の拠点」に変わった……というなんともアバウトな経緯を知って、ウケてしまいました。だからあんな不思議なことになっていたのか!
Wikipediaなどで「グレイズカル城」の複雑な設定の歴史を読むと、とても映画1本の中で説明しきれる量ではないことがよく分かります。
まとめ:頭を空っぽにして楽しめるが、知れば知るほど深い!
映画自体は小難しくなく、頭を空っぽにしてスカッと観られる娯楽SFアクションです。 しかしその背景には、「80年代玩具文化の混沌とした歴史」とマニアックな設定がぎっしり詰まっています。
「なんかツッコミどころが多いな?」と感じた方こそ、ぜひ背景を調べてみてください。作品の深さと愛おしさに度肝を抜かれ、何倍も楽しめること間違いなしです!
吹き替え声優も豪華です!
鈴木崚汰 、杉田智和、安済知佳、東地宏樹、花澤香菜 、坂本真綾など
参照リンク
伝説のミーム動画『HEYYEYAAEYAAAEYAEYAA』
曲 Snap!「The Power」
クイーンの楽曲「Princes Of The Universe」も流れます。
この曲は、映画『ハイランダー 悪魔の戦士』のサウンドトラックとして書かれました。