スポンサーリンク

輪廻転生、時を超えて巡り合う 漫画「環と周」よしながふみ、輪廻転生の間隔が気になったので、推察でざっくり年表的にまとめてみました(感想レビュー)

 

よしながふみの漫画「環と周」を読みました。

時を超えてふたりがめぐり合う、輪廻転生の物語。

 

時は現代、夫婦として暮らしている「環と周」から物語はスタートします。

 

 

よしながふみ  漫画「環と周」(感想レビュー)

 

大奥」「きのう何食べた」など大ヒット作をうみだした、よしながふみの描く輪廻転生に興味がありました。

手塚治の漫画には「火の鳥」などはじめ、頻繁に前世や輪廻転生が出てきますね。

 

よしながふみも手塚治の影響を受けているかもしれないと感じます。

君の名は」で輪廻転生を描いた新海誠は1973年生まれで、よしながふみは1971年生まれです。

 

 

第二話、時はさかのぼり、明治時代が描かれます。

「環と周」は女学生として巡り合い、没落華族と洋食屋の娘達は、身分差を超えて友達になります。

しかし、周は卒業を待たずして嫁に行き、環と手紙で交流を続けることになっていきます。

ほんの短い学生時代でしたが、その出会いは周の人生をも支えていきます。

人生において、ちょっとした出会いが、かけがえのない瞬間に変わるときがあるのだと思わされます。

 

よしながふみはインタビューで

『短いひとときではあるけれどこの人と逢えてよかった』

という想いが読者と共有できればいいんじゃないかって

とこたえていて、まさにそういう話。

どんな出会いがあって別れがあったのか、

ぜひ漫画を読んでみて欲しいです。

 

 

第三話は1970年代。

環が映画館で「エイリアン」を見ているので、1979年でしょう。

女優・シガニー・ウィーバーが主人公でエイリアンと戦い、強い女性像が誕生した画期的な映画です。

この物語において、あえてこの映画を選択したセンスが素晴らしい。

1979年はソニーがヘッドホンステレオ「ウォークマン」を発売した年と言えば、時代が伝わるでしょうか。

 

元看護師の女性・環と2歳の少年・周は同アパートの住人として知り合います。

かなり歳の差があり、輪廻転生にズレが生じているようです。

環は独身で、この時代に女性が独身でひとり暮らししているのは少数派な気がします。

シングルマザーの家庭の周を、環も面倒をみはじめます。

 

 

第四話は、敗戦後の日本ですから1945年以降。

ラバウルの戦い1942年(昭和17年)関連で上司(班長)・環と部下・周の関係で巡り合ったふたり。

戦争から帰還し、偶然会った環に周は闇市の手伝いに誘われます。

闇市とは敗戦後、全国の都市の焼け跡などに自然発生的に形成された自由市場のことです。

 

 

第五話は、隣同士の幼馴染、武家の息子・環と、娘・周として出会います。

斎藤清右衞門の名が登場し、江戸時代の中期・1721年から後期・1809年頃のようです。

よしながふみ「大奥」の裏でこんなお話があったのか!と想像するのも、また楽しい。

 

 

どの物語もドラマがあり。

ちょっとした親切や思いやりが、相手にとって大きな支えになっていることが伺えます。

どの時代でもお互いが助け合っていました。

男と女、女と女、男と男、性別がさまざまになっても。

環と周の関係に、読後に余韻があって、じわじわくるものがありました。

けれど、人間の闇な部分も描かれていて、向田邦子な雰囲気も感じました。 

 

インタビューで担当編集さんが年表を作ったとありましたがコミックに付属・掲載はなく。

どういう間隔で輪廻転生したのか気になる!

推察でざっくり年表的にまとめてみました。

まだ漫画を読んで無い人はネタバレになるといけないので、見ないほうがいいでしょう。

 

 

環と周、輪廻転生の経歴

 

2023年(環・周、43歳?)

1980年生?(環・周)

1979年死?(環・周)

1979年出会(環33歳・周2歳)

1977年生(周)

1977年死?(周62歳?)

1946年死・生?(環)

昭和1945年頃出会(環45歳?・周30歳?)

1915年頃死・生?(周35歳)

1900年頃死・生?(環19歳)

明治時代(1896年?)・出会(環16歳・周16歳)

江戸時代(1880年?)死・生(環31歳・周31歳)

江戸時代(1849年?)生(環・周)

 

 

推察補足

・明治時代、周は24歳年上の男性と結婚し、手紙には明治30年(1897年)と記しています。

当時の女性は15、6歳が結婚適齢期されており、仮に16歳としました。

同級生とは言え年は1・2歳違うこともあるかもと思いましたが、同年にしました。

 

・江戸時代、周の息子・数馬が元服しちょんまげを結っていることから、15歳以上と思われます。

 

こうして年表もどきにしてみると、明治時代に生まれ変わったとき、環と周は歳の差があるとしても1、2歳だと思うので、周が亡くなったあとに程なく環も亡くなっていると思います。

けれども輪廻転生のルールはないので、死んですぐ生まれるというパターンなら、という仮定のもとに考えました。

 

現代で夫婦になったふたりですが、その関係になるのが目的だったというわけでもなく、どの時代でもかけがえのない存在であることがふたりの運命のように感じました。

 

参考記事 

『大奥』『きのう何食べた?』など、数々の傑作を生み出してきたマンガ家の #よしながふみ さん。切なくもあたたかな最新作『環と周』をめぐって、よしながさんにお話を伺いました。(インタビュー前編)@Cocohana_manga #漫画 | yoi(ヨイ) - 心・体・性のウェルネスメディア