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ウェス・アンダーソン監督のストップモーション・アニメ映画「犬ヶ島」(感想レビュー)AmazonPrimeVideo 見放題

 

ウェス・アンダーソン監督のストップモーション・アニメ映画「犬ヶ島」が見たいと思っていたら、AmazonPrimeVideo見放題がスタートしました!(ちょっと前までレンタルでした)

 

ファンタジー日本が舞台で、メガ崎市でドッグ病が大流行し、小林市長が、すべての犬を"犬ヶ島"に追放します。

12歳の少年アタリは一人で小型飛行機に乗り込み、愛犬で親友のスポッツを救うために犬ヶ島に降り立ちます。

 

ウェス・アンダーソン監督は1969年、アメリカ・テキサス州ヒューストン生まれで、黒澤明庵野秀明今村昌平大友克洋小津安二郎北野武鈴木清順高畑勲宮崎駿などからインスピレーションを受けて制作された映画ですが、やはりどこかが変な日本で、私はそれがちょっと楽しい。

 

ウェス・アンダーソン監督は映画「グランド・ブダペスト・ホテル」(2014年)や、 

 

ダージリン急行」(2007年)が人気です。  

 

最新作は映画「アステロイド・シティ」(2023年)

トム・ハンクス 、エドワード・ノートンスカーレット・ヨハンソンティルダ・スウィントンなど出演。 

 

映画「犬ヶ島」(感想レビュー)

 

桃太郎の鬼ヶ島のようなタイトル「犬ヶ島

興味深いのは洋犬ばかり登場します。

白黒テレビの普及を見ると、昭和30年代頃の日本だと思われ、その頃の日本で犬といえば、秋田犬、 甲斐犬紀州犬 、柴犬、といった日本犬と呼ばれる犬種を家庭で飼っていたと思います。

監督はインタビューで1960年頃の日本を舞台にしつつ、描くのは今から20年後というファンタジー感溢れる設定にしています。

なるほど、現代の日本では柴犬など人気は健在であるものの、洋犬を飼っている家庭は多いです。

しかし、監督がそこまで把握しているかはわかりません。

 

科学党・渡辺教授はドッグ病を治す薬があと少しで完成すると訴えますが、小林市長は犬を追放します。

小林市長は猫好きの領主・小林の子孫です。

彼の血が犬を排除させようとするのでしょうか。

小林市長はアタリの伯父にあたり、アタリは自分の意思で犬を迎えにいきました。

結局のところ血ではなく、自分の意思で変えられると言いたいのでしょう。

 

追放される「犬が可哀想」と感じる人は多いでしょうが、もしも狂犬病のワクチンが無ければ人々は映画の市民のように犬を追放して欲しいと願うように思います。

日本での狂犬病は1957 年以降発生していませんが、狂犬病予防法が制定される1950年以前、日本国内では多くの犬が狂犬病と診断され、ヒトも狂犬病に感染し死亡していました。 

今でも狂犬病は、日本の周辺国を含む世界のほとんどの地域で依然として発生しています。

 

以前におもしろ動画と称して犬を怖がる海外の男性が紹介されていました。

狂犬病のワクチン接種がされているかわからない犬は、笑いごとではありません。

しかし、日本人はワクチン接種されていて安全という思い込みがあります。

 

日本では、飼い始めてから30日以内に犬を登録、年1回のワクチン接種が義務付けられています。

また、登録後に交付される鑑札は飼い犬の首輪等に装着することが法律で義務づけられています。

参照リンク 犬の鑑札、注射済票について|厚生労働省

 

 

撮影はフルCGではなく、なんと人形のコマ撮りです!

人形の動きは滑らかで演出が細かく、フルCGでストップモーション・アニメっぽく加工しているのでは?と思っていたのでびっくり。

犬の毛並みが風でなびいているのですが、えぇ!?あれも手作業ってこと?

犬の毛にはアルパカウールとメリノウールを使用しているそうです。

 

映画は完成まで4年の歳月をかけ、製作されたパペットの合計数は1097体、670人ものスタッフが関わっています。

メイキング動画を見て気が遠くなる。 

メイキングブックが出版されています。

 

ウェス・アンダーソン監督と言えば、演出やデザインに特徴がありますが、ツボだったのは、コバヤシランドの身長制限をはかる侍パネル。

デザインがよかったです。

 

犬をメインにすることは当初から想定されていたそうですが、なぜ犬だったのでしょう?

 

監督 イギリスで映画『ファンタスティック Mr. Fox』を撮っていたとき、毎朝スタジオに行く道に「I love dogs.」という看板があったんです。ロンドンには「Isle of Dogs」(ドッグ島)という島があるんですけど、いつも見ていて「面白いなあ、犬の島か~」というふとした思いから、この物語が生まれました。そもそも、そこで犬になっていましたね。僕自身は今、犬も猫も飼っていませんが。

参照記事 『犬ヶ島』ウェス・アンダーソン監督が語る日本愛と、感じる今「映画オタクがいなくなった」【来日インタビュー】 | FILMAGA(フィルマガ)

「ここに住まないか」彼女が即答しなかった理由。映画『土を喰らう十二ヵ月 』出演・沢田研二、松たか子、料理・土井善晴(感想レビュー)

 

映画『土を喰らう十二ヵ月 』を見ました。

出演・沢田研二  松たか子 西田尚美 尾美としのり 瀧川鯉八 檀ふみ 火野正平 奈良岡朋子 

犬・さんしょは白馬村の近隣のお宅の飼い犬「もも」が大抜擢

 

原作は水上勉土を喰う日々 ―わが精進十二ヵ月―』  

 

映画『土を喰らう十二ヵ月 』あらすじ

長野、信州の山奥の山荘で暮らす作家のツトム(沢田研二)。

9歳のとき、口減しのために禅寺へいれられ、禅寺で精進料理の基礎を習った経験を持つ。

山の実やきのこを採り、畑で育てた野菜を自ら料理し、季節の移ろいを感じながら原稿に向き合う日々を送っている。

時折、編集者で恋人の真知子(松たか子)が、東京から訪ねてくる。

食いしん坊の真知子と旬のものを料理して一緒に食べるのは、楽しく格別な時間。悠々自適に暮らすツトムだがある日倒れ、救急車で運ばれる。

 

映画に登場する料理は土井善晴が担当。レシピ本がでてます。

 

映画『土を喰らう十二ヵ月 』(感想レビュー)

 

沢田研二が料理する役なんて大丈夫?

と思ったけれど、あら、手つきがいい。

日頃からお料理をされているそうで、土井善晴も指導に困らなかったようです。意外。

 

参照記事 「沢田さんはええ手してはります」沢田研二への指導も 「土を喰らう十二ヵ月」土井善晴のコメント&料理写真 : 映画ニュース - 映画.com

 

 

タイル張りのかまどでご飯を炊く。

セリ、こごめ、わらび、やまうど、タラの芽を摘んできて料理する。

漬物と味噌汁と白ごはん。

竹の子を掘る。

梅を漬ける。

世代によっては、なつかしい光景だと思います。

 

梅酢を飲んで、住職の娘(檀ふみ)は

「なつかしいですね、子供のときを思い出します」

と言うけれど、ツトムは

「小僧のときは飲ましてもらえませんでした」

切ない。

今なら良質な梅酢を簡単にお取り寄せできますが、自宅で作るのが当たり前だった時代、梅農園でもなければわずかしかできなかったので、住職は小僧にもったいなくて飲ませてくれなかったのかもしれません。

 

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ツトムは9歳のとき、口減しのために禅寺へいれられた経緯があるわけですよ。

梅酢1杯で感じる愛情っていうのかなぁ、そういうのさえもらえなかった。

悲しすぎません!?

住職の娘は飲めた。

その悲哀が感じられました。

 

竹の子ってそんなに美味しいですか?

ツトムと真知子は美味しそうに掘り立ての竹の子を頬ばります。

ツトムが真知子の皿に竹の子を取り分けてやるのがとても印象的でした。

まるで実家に久しぶりに帰省した娘のような扱いに見えましたが、けれど、ツトム自身はそうした行為をされたことは過去に無いと思うので、そうした人が、自分が掘って、アクを抜いて手間をかけて作った竹の子料理をサッと真智子によそってやる場面に、愛情を感じました。

 

竹の子を盛り付けた大皿がすごく素敵。

ツトムが使っている器は、土井善晴と中江監督が厳選した 読谷山焼北窯、西持田窯など。

よく見ると、箸が青竹を削ったもの?洒落ている。

どこかお洒落で、楽しそう、田舎の暮らしに憧れてしまいそう。

 

ある日、13年前に亡くした妻の弟夫婦が、義母を見に行ってくれ、とやってきます。

妻に西田尚美、尻に敷かれる夫・尾美としのりが面白い!

義母の住まいは、昔話のような日本家屋で、台風で吹き飛んでしまいそう。

いまどきこんな住まいに住んでいる人がいるのか。

 

義母の葬式を任せる!妻の弟夫婦に託されたツトム

親戚付き合いがあるとはいえ、13年前に亡くした妻の母親ですよ。

さすがに筋違いだろうと思いつつ、仕方なく引き受ける。

うわー、生々しい!

恋人・真知子は葬式に助力し、なんて良い彼女なんだ!

 

弟夫婦はどうやらケチったらしい、和尚さんを呼んでない!

代わりにツトムがお経を読み上げる。

えー!!

この映画の時代設定って昔なのかな。。。

棺桶も大工さんが木を打って作ってたし。

原作は1978年に連載、1982年に出版ということだから、昭和の話なのか。

うーん、当時はどうだったのだろう。

 

犬・さんしょ。

亡くなった妻が山椒から名付けた設定で、13歳以上の老犬役。

まるまるとした体のさんしょはツトムにどこか似ているようにも見えるし、愛されていると感じられる良い犬でした。

雪の中をシッポ振って歩く姿も愛らしい。

田舎で犬を飼うのは、畑に行ったときにイノシシに襲われないためとか、猿避けとか、実用的な意味もあります。

けれどこの映画では、ツトムの同居者という位置づけだったように思います。

まだペットフードが主流ではなかった時代なのか、さんしょはツトムから釜のご飯をもらって食べます。

犬は食べる前に「待て」をさせるものだと聞きますが、ツトムはそれをしません。

 

撮影前にスタッフが白馬村周辺で愛犬役の犬を探し回っていたところ、スタッフの軽トラックを追いかけ、自ら出演オファーしてきたのがももちゃんだったそう。 

地元の犬だからこそ、風景に馴染んでいたように思います。

 

ツトムと真知子は親ほど歳が離れた恋人です。

私は歳の差の偏見はさほど無いほうだと思うけど、空気感が恋人としては違和感がありました。

その感じた違和感は、結局のところ最後につながったのかなと。

 

真知子の質問「前からずっと聞きたかったこと聞いていい?」

あー、ふんふん、そこが心に引っかかっていたのね?

その質問のツトムの答えにも、そういうことかと納得。

ツトムは年上なぶん、人生で多くを経験しています。

それを含めていまのツトムなのです。

ツトムが「ここに住まないか」と提案したとき、彼女が即答しなかった理由のひとつだったのでしょう。

男女のアレコレが見え隠れする場面だと思います。

これって恋愛映画だったの!?

 

渋い映画ですが、沢田研二が味わい深く、後からじわじわくる良い映画だと思います。

それに沢田研二は歌手だけあって、語りの声がとても良い。

映画の主題歌も歌っています。

いつか君は

いつか君は

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 ・いつか君は(作詞/覚和歌子 作曲・編曲/大村憲司

・ 遠い夏(作詞・作曲/沢田研二

 

リンク 映画『土を喰らう十二ヵ月』オフィシャルサイト