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大人になって映画『少林寺木人拳』を改めて見たらめちゃくちゃ面白かった!事故か自害か?意見の別れる最期はインパクト大(感想レビュー)

 

映画『少林寺木人拳』(1981年日本公開)をご存知でしょうか?

日本で劇場公開されたジャッキー・チェン主演映画の中では最古の映画です。

一重瞼の頃のジャッキーで、よく知っているジャッキーと違って見えます。

 

 

先日、キアヌ・リーブス主演の映画『John Wick: Chapter 4(ジョンウィック コンセクエンス)』で『少林寺木人拳』がオマージュされてました。

けれど全体の物語がどうだったか記憶が曖昧だと気がつき、三連休にジャッキー映画を『少林寺木人拳』『スネーキーモンキー蛇拳』『酔拳』と見ました。

この3つのカンフー映画は評価が高いです。

映画を通して見ると、お決まりパターンがわかってくるのも楽しいです。

 

 

特に『少林寺木人拳』がめちゃくちゃ面白かった!!

物語はシリアスですが演出が面白い。

ぜひ見ていただきたい!!

AmazonPrimeVideoの見放題で映画『少林寺木人拳』は見られます!(現在調べ)

そこで映画『少林寺木人拳』のおすすめポイントを挙げながら、ざっくりあらすじ紹介したいと思います。(長くなるよ!)

 

 

おすすめ1

冒頭から、少年漫画なわくわく展開

暗闇に5人のカンフーの達人僧が浮かび上がっています。

絵面だけで「おぉっ」てなる。

まるでエヴァのゼーレのようでもあるし、謎のお偉いさんを前にするときの雰囲気ってこういう感じ!

ただし、日本公開(テレビ放映含む?)ではこのシーンはカットされていたみたいです。

 

 

おすすめ2

鉄の下駄を履いて水汲み修行

イーロン(主人公、ジャッキー・チェン)や先輩が鉄の下駄を履いて階段を登って水汲みの修行をさせられます。

バケツの先が尖っていて、地面に置けないようになっています。

床につこうものなら、バケツがひっくり返って水がバシャーンと流れていきます。

イーロンが慌てる様子がいい。

階段の途中で休むこともできません。

笑えるほどベタなありえない修行ですが少林寺らしい修行です。

そのバケツはどこで作らせたんや。

 

 

おすすめ3

先生たちが 若者・小唖巴イーロン(ジャッキー・チェン)を好きすぎる

先輩をはじめ、先生たちもイーロンに優しいです。

イーロンが好かれやすい性格はこの物語で重要なポイントです。

 

ウンムイという女性の僧が登場します。

入門したばかりのイーロンを気にかけます(イーロンは成人に見えますが小僧という設定らしく、幼いのでみんな気にかけてるっぽいです)

イーロンは復讐のため強くなろうとしていて、ウンムイは正義のためにカンフーを使いなさい、急所は狙ってはダメです、と説きます。

ウンムイの存在はイーロンのカンフー精神に影響を及ぼす重要な人物です。

そしてウンムイは蛇意八歩をイーロンに訓練します。

桐油を床に敷き、ぬるぬる滑ります。

雨の日はどうなるねん、という感じな訓練場所がとてもいい。

 

酔拳の僧が、水運びは足を鍛え、薪割りは背中を鍛えるから修行を励みなさいとイーロンを応援します。

映画『ベストキッド』などさまざまな作品でこの修行をヒントにしていると思います。

酔拳の僧はイーロンにこっそり稽古をつけます。

先生たちの教えに真面目に取り組むイーロンに好感が持てます。

 

 

おすすめ4

滝の裏の洞窟に幽閉されている強烈キャラ、法愚(ファユー)

僧が大嫌いなファユーはご飯係の僧に暴言を吐き、食事にありつけなくなる破天荒キャラ。

「暑い暑い!寒い寒い!」と騒ぎ、風邪を引いたのかと思ったのですが、どうやら自律神経がおかしくなっているようです。

こんな昔に、そんな演出があるんだ!

ファユーは10年ほど洞窟に幽閉されていますから精神を病んでもおかしくありません。

 

イーロンが食事など世話をし、お礼にファユーが起馬抱拳、蝴蝶拳を教えます。

ファユーはイーロンを訓練するうちに、普通に会話ができるようになっていき、社会復帰に向けて準備を整える様子もちゃんとしてます。

 

ウンムイや酔拳の僧の教えだけで達人になれるような安易さが無いのが、よく考えられていて感心しました。

イーロンが上達した演出に「滝の上で演舞する」

素晴らしい表現です。

滑って落ちたら大けがする場所で、当時はガチでやってるのもすごい。

当時は子供が見たら真似するから見せないようにした親がいたような気もします。

 

 

おすすめ5

木人のからくり人形

少林寺を出る試験として「木人」という木製のからくり人形と戦う必要があります。

恐ろしいルールです。

どうみても少林寺から出す気無いじゃん、という試験。

 

木人にはチェーンがついてて、後ろで僧が引っ張って操作しているのか、そんな設定。

少林寺にはどんなテクノロジーがあるんだよ。

木人にはどう見ても人が入ってる(好き)

サスケみたいに時間制限もあり、線香が消えるまでに通らなくてはなりません。

めちゃくちゃ面白い!

小窓から高僧がその様子を黙って見て、こくり、と頷いたり、演出に萌える。

映画がはじまって30分で、ヨン先輩が木人に挑戦します。

昔の映画にしてはテンポが良く、ヨンが木人と戦う場面まであっという間です。

 

タイトルの少林寺木人拳は「東宝から発売されたビデオ邦題」であって、主人公が木人拳を極める物語ではないです。驚きです!

少林寺木人拳って題名だったら、木人拳の達人になると思うじゃないですか。

全然違うんです。

この題名を考えた東宝の担当者、凄すぎる。

誰かこの担当者の名前を教えてくれ!ドキュメンタリーはないのか!?

 

そしてとうとうイーロンも木人に挑戦する日がやってきます。

(途中にある穴はリタイアするための抜け道と思われます。お化け屋敷にもありますね)

 

 

おすすめ6

北斗の拳やん、が盛りだくさん。

例えば、神輿に担がれて登場するファユーは、まさにサウザー

己の視力を奪う僧侶は、まさにシュウ。

口のきけないイーロンは、リンちゃん。

ファユーが一般人を殺し高笑い、、、悪役のお手本みたいな人。

さまざまな場面で、ここからヒントを得たのか!?と感じます。

(書いてないけどまだまだあるよ!)

 

 

おすすめ7

高僧の『羅漢伏魔』の掛け声で、僧がファユーを囲んで攻撃

蜘蛛男 でショッカーが仮面ライダーを囲んでぐるぐるする名場面があります。

蜘蛛男 (仮面ライダー)は第1話『怪奇蜘蛛男』(1971年4月3日放送)とあります。

映画『少林寺木人拳』は1976年製作の香港映画

ということは仮面ライダーの場面を真似て『少林寺木人拳』を撮ったのか、もともと中国にそういう動きがあるのかわかりませんが、そっくりな場面が登場します。

たったひとりの乱入者で僧侶たちはバラバラになって、まんまとファユーを逃してしまいます。

 

 

おすすめ8

中国の古典音楽が場面をよりいっそう盛り上げる

いかにも中国!って感じの音楽が良いです。

サウンドトラックを探してみたけど見つかりませんでした。

他の映画でも流用されているので、この映画のために作った曲では無いと思います。

なんて曲なんだろう。。。

 

ファユーとイーロンの戦いでは『ミラクルガイ』がバックに流れます。

と言っても、これは日本公開独自の音楽で、吹替版など特別な編集が加わったバージョンで見られます。

当時、この音楽を戦いのバックで流すことにより大ヒットしたと言われています。

『ミラクルガイ』をバックに戦うのが盛り上がって好き、というファンは多いです。

 

 

映画を見て欲しい

以下、本格的なネタバレです。

 

 

おすすめ8

高僧・リンクン大師は秘伝の書「天罡伏魔功」を渡し死亡

イーロンは盲目の僧侶・霊空大師(リンクン大師)を訪れます。

実はこのリンクン大師こそファユーの師匠でした。

10年前、ファユーが罪を認めない愚弟子であることに責任を負って目を自ら潰し、寺をファチー師に任せリンクン大師は現役を退いていました。

ファユーの弟子・イーロンの訪問にリンクン大師は「因果だ」

 

ファチー師はリンクン大師に奥義をイーロンに授けるようお願いします。

「この本に書かれている」

リンクン大師は着物の懐から秘伝の書「天罡伏魔功」を取り出しファチー師に渡します。

えぇ!

 映画『カンフーハッスル』をはじめチャウ・シンチー監督の映画で本(秘伝の書)でカンフーを学ぶ流れはこの影響だと思います。

リンクン大師は本に書かれてあることを「習得すれば無敵となれるはずだ」と言って死にます。(自害と思われるが、心不全にも見える)

本で学べと!?ハードルを上げてどうする!

 

 

おすすめ9

倒立腕立てなど、再び修行

リンクン大師に代わって、ファチー師は「天罡伏魔功」をイーロンに教えます。

教えられるの!?

倒立して腕立てする場面は、男子なら挑戦したくなる!?

すごすぎる!!かっこいい!

修行を続け、上達したところでファユーが3日後に少林寺を襲うと知らせが入ります。

いったいイーロンはどれくらいの期間を修行したのか。。。

少林寺の救世主って言われてるんだぜ。。。僧にもなってないのに。

 

 

おすすめ10

父を殺したのはファユーだった!

ファチー師がマンに「スーを殺した犯人はもう見つかったのですか?」と質問。

父の名・スーが出て驚くイーロン。

なんとマンは犯人を10年間探し続けていたのでした。

そこへファユーが登場しマンは「スーを殺したのはお前か?」と問い詰めます。

ファユーは三絶掌でスーを殺したと話し、マンを殺そうとしますがイーロンが助けに入ります。

 

ファユーはイーロンがマンを庇ったことに動揺を見せます。

ファユーはイーロンの師匠ですからね。

可愛い弟子がまさか!とショックを受ける表情が俳優、カム・コン(金剛)の素晴らしい演技だと思います。

酷い人なんだけど、魅力的なキャラなんです。

 

余談ですが、カム・コンは映画『蛇鶴八拳』でもジャッキーと対決しています。

 

 

そしてここで、イーロンがはじめて言葉を発します!!

衝撃!!

北斗の拳のリンちゃんの衝撃が!!

 

 

おすすめ11

法愚(ファユー)VS小唖巴イーロン(ジャッキー・チェン

師弟対決です。

めちゃくちゃ面白いです。

ファユーは手合わせして「かなり腕を上げたな」うれしそう。

やだ、ファユー可愛い。

 

ファユーは10年幽閉されてただけあって、強いけど腕が鈍っているのか、イーロンとの戦いに戸惑っているのかわかりませんが、ピンチに陥ります。

「ボス休んでてください!」

ふたりの幹部が助けに入ると、素直に応じるファユー。

そこは「お前らは引っ込んでろ!」だと思うんだけど、ファユーの人間くささが滲み出ててすごくいいです。

 

幹部の腹に剣が刺さったのを見て驚くファユー。

その驚きは、イーロンが強すぎることかと思ったのですが、後でよくよく考えたら違うように感じました。

 

イーロンは肩甲骨周囲を鍛えていて(ファチー師との修行・立甲の映像が走馬灯のように流れる)ファユーはイーロンに肩を掴まれて痛がります。

なにそれ、めちゃくちゃ面白いんですけど。

あれ、もしかしてその技が秘伝の天罡伏魔功!?

まじか、それで勝てるのか!?

 

ファユーは痛がりつつも獅咆哮を仕掛けているようです。

声にエコーがかかっていますし、イーロンが顔を逸らし歪めていることからも獅咆哮でしょう。(テレビ放映など吹替ではエコーがかかっておらず、ただ痛がっているようにしか見えません)

イーロンは獅咆哮に耐えきれず天罡伏魔功を緩めたので、ファユーが振り解くことができたように見えます。

 映画『カンフーハッスル』で大家の妻が獅咆哮をしてましたから、あの映像が獅咆哮をイメージしやすいと思います。

 

ファユーはスーを三絶掌で殺したと話していたり、イーロンの動きを見て「蛇意八歩か!」と即座にわかるし、カンフーに詳しいことが伺えます。

さすが免許皆伝の元高僧です。

獅咆哮を習得していてもおかしく無いと思います。

 

ファユーの動きをイーロンが同じ動きをする場面があるのですが、はじめは(面白いな)としか思ってなくて、でもよく考えてみれば、ファユーが戦い中に指導しているのか!

洞窟ではまともに「起馬抱拳」を見せられませんでしたから、お手本を見せているようなのです。

ファユー!!

洞窟での指導(38分あたり)と見比べてみてください。

 

そうなってくると気になるのは蛇意八歩のウンムイ。

ウンムイは理由があって寺に置いてもらっている、とはじめにイーロンに話しています。

女性が出家する理由はさまざまですが、もしもファユーが息子だったら?

罪を犯し幽閉された息子を近くで見守っていたとしたら。

そしてイーロンのなかにファユーの影響を見抜き、息子と同じ過ちをさせないために、正義を説いたのかもしれないとか。。。

いやいや、ウンムイはかなり昔から少林寺にいて、ファユーに蛇意八歩を教えたことがあったほうがしっくりくるか。

ウンムイはお気に入りの男子に蛇意八歩を教えるのが趣味かもしれない。

 

イーロンはファユーに「ファチー師と少林寺に戻って欲しい」と願います。

ファユーは「わしの罪は消えん。お前にカンフーを指導できたこと光栄に思うぞ」と言います。

切ないわ。。。

 

 

おすすめ12

ファユーの最期、事故か自害か!?あなたはどう感じる?

ファユーの最期の解釈には議論が交わされています。

私はリンクン大師が自害したと思われ、それはファユーへの匂わせ演出でもあると思います。

よって、ファユーの行為もそういうことだと感じました。

 

ファユーは弟子・イーロンに自分が教えられるすべてを伝授し、僧の端くれとしてやりきった感も見えたように思います。

ファユーのイーロンに向けた手の震えにさまざまな感情が込められているのではないでしょうか。

イーロンなら避けられるはず、と考え振り下ろしたことでしょう。

殺すつもりなら、サクッとファユーならやります。

イーロンが避けたというより、ファユーがイーロンをどかしたように見えます。

 

最期はありえない!という終わり方ですが、インパクトがあって好きです。

あんな大胆な終わり方、今じゃできないよ!

どんな最期かは実際に映像を見ていただきたいです。

 

 

おすすめ13

イーロンは少林寺で僧になる決心

日本公開の映画ではカットされていたシーンのようです。

戦いに勝ったところで終わっています。

ファユーでさえ心を開いたのですから、人気者の僧になること間違いなしです。

もしもイーロンが悪いほうへいったなら、ゴールデンカムイの鶴見のようなカリスマ的な存在になったのかなと思います。 

 

感想まとめ

ファユーは少林寺で免許皆伝の僧になっておきながら、人を殺めるなど道を外しました。

何がファユーにあったのかわかりませんが、サイコパスの性質をもともと持っていたのではないでしょうか。

ウィキのサイコパスを参照すると、ファユーにあてはまるような気がします。

なぜそう思ったかというと映画『ノーカントリー』のシガー(ハビエル・バルデム)をふと思い出したんですよね。

 

 

だけど、ファユーはイーロンと出会い相手を愛しく思えるようになり、心に血が通ったのだと思います(BL的な意味ではなく、弟子として)

イーロンがすごいところは、ファユーのような人でも、やっぱり師匠だから、と敬う心を忘れず、ファユーの罪を「許す」とまで言うのです。

ファユーが父を殺してなかったらイーロンにも出会ってないわけで、複雑な気持ちになる場面でした。

リンクン大師の言葉を借りれば「因果だ」

10年間反省しなかったファユーですが、イーロンの言葉で自ら決着をつけることにしたのでしょう。

師匠なのに弟子に諭されとるがな!

人が親となり子供によって成長を促されるように、師をつくるのもまた弟子なのかもしれません。

 

 

どれだけ映画『少林寺木人拳』が面白かったか伝わったでしょうか。

ほぼ書いちゃったけど、ぜひ映画を見て映像で楽しんで欲しいです。

おすすめの映画です。