元・アメリカ国防情報局の脚本家が描くスパイ・アクション映画『カンダハル 突破せよ』が12月20日からAmazonPrimeVideo配信開始したので見ました。
ジェラルド・バトラー主演。
アクションがすごく良くて『ジョン・ウィック』製作陣が手掛けたと知りどうりで!
映画『カンダハル 突破せよ』あらすじ
イラン国内に潜入中のCIA工作員トム・ハリス(ジェラルド・バトラー)は核開発施設の破壊工作に成功した直後、新たな任務に就く。
しかしCIAの内部告発により機密情報が漏洩し全世界に正体が明かされ脱出を命じられる。
仲間の工作員(トム・リース・ハリーズ)はすでに殺害され危機が迫っている。脱出するには、アフガニスタン南部カンダハルのCIA基地から30時間後に離陸する英国SAS連隊の飛行機に乗らなければならない。
果たして脱出に間に合うのか!?
映画『カンダハル 突破せよ』感想レビュー
政治や宗教的なことはまず置いといて、アクションがとにかく面白かったです。
ヘリの追跡や、銃撃シーンに興奮したり、荒野を砂煙を上げながら走る車もめちゃくちゃかっこいいんです。
CIAの上官をディスってるのも面白い。
トム・ハリスの脱出が難しいとわかると、1秒も迷いなく「あきらめよう」と言うのです。
ブラックユーモアすぎて笑えます。
しかし、トムがMI6に所属しながらCIAに貸し出されている、という「そんなことってあるの?」と一般人には少々理解に難しい設定だと思いました。
まぁ、だからCIAの諜報員でありながら、英国SAS連隊の飛行機に乗れるわけなんですけども、Youtubeに補足動画をアップしてくれるとうれしいんだけどなぁ。
トムは通訳・モー(ナビド・ネガーバン)と一緒に脱出を試みます。
ナビド・ネガーバンはイラン出身の俳優で、テレビドラマ「24 -TWENTY FOUR- 」にも出演しています。
モーはイスラム教徒で、追っ手に狙われた後も「お祈りの時間だ」と祈りを捧げます。
こんなときもお祈りするんだ!と思ってしまいますが、そういう宗教なんですよね。
改めて衝撃を受けます。
荒地でモーは「これじゃ膝が痛いな」と独りごとを言い、トムは上着を脱いで使うように差し出します。
文化を尊重する姿勢や、少ない食料を分け与えたり、トムの人柄が窺える場面があり、人情を感じる主人公でした。
目的地のアフガニスタン南部カンダハルまでは紛争地で、タリバン、パキスタン、インド、ロシア、ISIS-Kなど危険がいっぱいです。
複数の追っ手がいるので、混乱する人もいるでしょう。
バイクでカヒ・ナシル(アリ・ファザル)が登場したとき、敵か味方かさえわかりませんでした。
アリ・ファザルはインド出身のかっこいい男性です。
ナシルが休日返上で働き、ロンドン、パリに転属させてくれと上司らしき人に電話で訴える場面も描かれ、敵も味方もそれぞれの事情でこの案件に関わっている人間ドラマが垣間見えます。
彼らも人間なんだよ、そう伝えてるように思いました。
そして彼らには彼らの信念があり、価値観の違いであって彼らにとってその考えは悪では無いようです。
それが物語に深みをもたせていたと思います。
メッカに巡礼した人を意味する「ハッジ」という白い帽子をかぶっているローマン(トラヴィス・フィメル)が登場します。
メッカに巡礼するには大金がいり、誰もができることではありません。
そのためハッジは尊敬されます。
通訳・モーはイランから脱出しアメリカに移住した身ながらも、長男の墓参りと、行方不明の妻の妹を探したい気持ちもあり仕事を引き受けたようですが、ハッジのローマンに頼まれたのも断れない要因のひとつだったのではないかと感じました。
モーはとても熱心なイスラム教徒ですが、ハッジではありません。
メッカに巡礼できるような暮らしではなかったからでしょう。
宗教に詳しいわけではないのであくまでも推測にすぎませんが。
ローマンは大豪邸に住んでいて、スパイのコーディネーターとしてかなりの手腕があると伺えますが、彼の信仰心は厚く彼の信じるものに従ってスパイを送り込んでいます。
実体験に基づいた映画 とのことで、よくこの時代にデリケートな問題を映画にしたなぁ。
でも、つまり言いたいのは「平和を望んでいる」ということだと受け取れる内容でした。
トムとモーの会話から伺えます。
調べると2021年に「イラン、核施設で「破壊工作」と発表」というニュースがありました。これをベースにしたのかな?
イランの原子力当局は11日、テヘラン南郊ナタンズの原子力開発施設が「破壊工作」にあっていると発表した。この前日には、新たなウラン濃縮施設の完成を発表したばかりだった。
9ケ月前にも「IAEA事務局長がイラン訪問 原子力庁のトップらと会談、核施設監視カメラなど再設置で合意」というニュースが報道されていました。
それにしても、このタイトルは日本人にはピンッとこないでしょう。
確かに「カンダハル突破せよ」って感じでイランから400マイル(643km)も疾走するわけですが。
でも「30時間」としたら、まるでリーアム・ニーソンが主人公みたいだし、
「トム・ハリス」だと「ジョン・ウィック」みたいだし、
頭を捻ったタイトルだとは思います。
で、カンダハルってどこなのよ、と思ったので地図を見ました。
カンダハルはカーブルに次いでアフガニスタン第2の都市とありますから、CIAの基地があってもおかしくないのかな。
イランからカンダハル(643km)は東京から青森くらいの距離です。
参照リンク カンダハール - Wikipedia
スパイ・アクションが好きな人、ジョン・ウィックが好きな人に
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