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死神が脅かしていたこととは?アニメ「昭和元禄落語心中 -助六再び篇-」(感想レビュー・落語紹介)

 

アニメ『昭和元禄落語心中 -助六再び篇-』(2期)

 

八代目八雲(菊比古)に弟子入りして、与太郎もいよいよ真打に昇進。

助六」を襲名します。 

「落語は笑わせるだけのものじゃない、共感を得るものです」

だから、落語は廃れないはずだ!と助六与太郎)。

美青年だった菊比古も八雲を襲名しイケおじになりました。

 

昭和元禄落語心中 -助六再び篇-

有楽亭八雲(CV:石田 彰)の落語「反魂香」冒頭映像 

 

落語「反魂香」

反魂香を焚くと幽霊が出てくると言われている。

「ひゅーどろどろどろ」の効果音でお馴染みの演目。

幽霊が出てくるなら自分も妻に会うためにお香を焚いてみよう、と考える主人公に共感できるように思います。

 

 

自分らしい落語ができない与太郎助六)は、親子会(師匠と弟子の会)で落語「居残り」を披露するよう言われます。

「居残り」は何を粋としてとらえるかで演じ方が変わる、と落語大好き作家・樋口栄助(関俊彦)にアドバイスされます。

つまり「自分らしさ」が出やすい落語なのです。

 

自分らしさを見つけたい人は落語を読んでみるといいかもしれません。

 

 

アニメ「昭和元禄落語心中 -助六再び篇-

与太郎/三代目助六(CV:関 智一)親子会で披露する落語「居残り」冒頭映像 

 

落語「居残り」

遊郭で代金が支払えない左平次は布団部屋に軟禁されるが、布団部屋を抜け出して、勝手に客足らい(幇間・ほうかん)をはじめ祝儀までもらう始末。

いつまでも遊郭に居残る左平次に「出て行って欲しい」と主人に切り出される。

「居残り左平次とは俺のことよ」

 

親子会の与太郎の落語はかつでないほどうまくできます。

これまで散々失敗し、試行錯誤した結果でもあります。

 

 

第七話

1シーズンの亀屋旅館で八雲(菊比古)が披露した落語「明烏」、助六の落語「芝浜」のフィルムを与太郎は見ます。

助六が最高の「芝浜」を演じたときの映像を、与太郎が見れたことに感動しました。

与太郎助六の落語をこれまで音で聞いて勉強していました。

けれども仕草など実際の映像を見て「これだ!」とひらめくところがあったと思います。

 

この場面に、呪術廻戦21巻を思い出しました。

真希が蘇った伏黒甚爾の戦いを目の当たりにする場面です。

真希は呪力がなくバカにされ育ち、師匠と呼べる人物がいません。

呪力の無い強い人がいたらしいよ、と伝説的な噂話は聞いてはいましたが真実かどうかわからない。

噂話は本当で、その人物、伏黒甚爾の圧倒的な強さを見て真希は驚愕し、自分の目指すべき姿を見出します。

 

同じ時代に生きてなければ、継承できなかったり、得られないものもあります。

しかし映像があれば大部分を補えます。

落語を愛する作家・樋口栄助は、八雲(菊比古)の落語をこっそり映像に撮っていて、後世のために残すことを許して欲しいと告白する場面があります。

そんなに映像って大事かなぁ?

と思う人もいるかもしれませんが、バスターキートンの映像を見たら、わかってもらえるかなぁ。。。バスターキートン の 一週間(1920年) を見れば、ドリフやトム&ジェリーに大きな影響を与えたことが伺えると思います。(ドリフトム&ジェリーも知らない人いるよな。。。)

CGも無い時代に「すごい」のは伝わるかと。

 

 

ジャッキーチェンのスタントに影響を与えたことが伺えるバスターキートンの動画

 

アニメ「昭和元禄落語心中 -助六再び篇-」は次へ繋ぐことがテーマだったように感じました。

八雲(菊比古)の得意とする落語「死神」

「消えるよ、消えるよ」蝋燭の火が絶えてしまうと死神が脅します。

それは八雲(菊比古)にとって落語が消えると脅されていたようなものではないでしょうか。

寄席も火事によって消失されてしまうし。

 

しかし、八雲(菊比古)の落語はしっかり信之助に受け継がれているように見えます。

そし弟子・与太郎助六)はもまた、助六を受け継ぎ落語界を担っており、ラジオから愉快な落語が聞こえてきます。

八雲(菊比古)の落語は与太郎、信之助の中に生きていて、後世に残っていくのでしょう。

 

 

昭和元禄落語心中 -助六再び篇-」に出てくる落語は、

 

落語『つるつる』

助六」の襲名の祝いで「つるつる」を八雲が披露。

一八が芸者のお梅に嫁に来ないかと口説いたところ、お梅は、今晩2時になったら、あたしの部屋に来て、ただし少しでも遅れたら、この話は、なかったことにしましょうと約束する。

 

落語『初天神

天満宮へ息子と参拝に来た男。息子が物を買ってくれとせがみだす。

 

落語『大工調べ』

大工の与太郎が仕事に出てこないので棟梁の政五郎が様子を見に行くと、長屋の家賃を滞納していたために、大家から商売道具である道具箱を取り上げられる。

 

落語『たちぎれ』

芸者の小糸に入れ上げ、若旦那は店の金に手をつける。

番頭は若旦那を蔵に閉じ込め100日間そこで暮らすよう言い渡す。

小糸からは、毎日のように手紙が来るが、番頭は若旦那に見せない。

若旦那が蔵住まいになって80日目、ついに手紙が来なくなる。 

八雲が刑務所の慰問で話した落語。

 

落語『二番煎じ』

 冬の晩、防火のための夜回りを町内の旦那衆が行う。

「火の用心 さっしゃりやしょう」

 夜回りをした一同は番小屋で火鉢を囲んで暖をとり、ある者は酒を持ち込み、ある者は猪の肉と鍋を持ち込み、即席の酒宴が始まるが、番小屋でそのようなことをするのは御法度だ。

 

落語『寿限無

生まれた子供がいつまでも元気で長生きできるようにと考えて、とにかく「長い」ものが良いととんでもない名前を付けた。

 

などなど。

 

日本舞踊「奴さん」

第一話で与太郎がお座敷で踊るのは日本舞踊「奴さん」

「はー、こりゃこりゃ」の掛け声が特徴的。

師匠の八雲に叩き込まれたと言います。

寄席で踊りを見せることがあります。