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「死ぬかも!」最期に思い浮かべた女性とは?エドワード朝から第一次世界大戦後までの貴族を描く『パレーズ・エンド』ベネディクト・カンバーバッチ主演

 

ベネディクト・カンバーバッチ主演、

エドワード朝から第一次世界大戦後までを舞台にした

ドラマ『パレーズ・エンド』(全5話)をAmazonPrimeVideoで見ました。

この時代って、古風な貴族文化と近代化が混じってて面白いんです。

全5話で長すぎず短すぎずGWに見るのもおすすめ。

 

ダウントン・アビー』が好きな人なら興味あるかも。 

 

『パレーズ・エンド』感想レビュー

 

貴族の青年クリストファー・ティージェンス(カンバーバッチ)は、

シルヴィアの恋愛の罠にハマって「本当に僕の子かな?」と疑いながらも結婚します。

恋におちたシェイクスピア』で第71回アカデミー賞脚本賞を受賞したトム・ストッパードが脚本を担当しているだけあって、導入から引き込まれる。

 

自由奔放な妻・シルヴィアを好演しているのは、レベッカ・ホール

スラッとしたファッションスタイルが素敵で、男性達が惚れてしまうのが頷けるイギリス的な美人。

シルヴィアは結婚後も他の男性とイチャイチャするけれど、ティージェンス(夫)の気を引きたくてそういう行動をしています。

シルヴィアの屈折した愛情表現!

残念ながら、ティージェンスはそういうプレイは好みじゃ無く夫婦間はぎくしゃくしていきます。

やがてシルヴィアは他の男と出ていく。

しかし「離婚は下品」と、ティージェンスは離婚しない。

この時代ならではの価値観が物語を複雑にさせます。

はたから見て、

どうして仕事もできて真面目な人が、あんな人と結婚したのかしら?

など、不思議な夫婦っていると思うんですけど、いろいろ理由があるんでしょうね。

 

そこへ女性参政権活動家・ヴァレンタインの登場。

やんちゃな行動に、すっかり魅了されるティージェンス。

ティージェンスは型被りの女性に惹かれる傾向にあるらしい。

お坊ちゃん育ちにありがちな恋愛パターンかも。

この時代にしては前衛的と思われるショートヘアーに、ガーリーな白いワンピースのヴァレンタインが可愛い。

 

ヴァレンタインを演じたのはアデレイド・クレメンス

ウルヴァリン:X-MEN ZERO』のちょい役で映画デビュー 。

 

やがて戦争がはじまり、命の危機にさらされている兵士がいるのに、

上官は晩餐会を開きシャンパンを飲んだりシュールに対比が描かれます。

ティージェンスはウィリアム大佐の副官として前線へ送られてしまいます。

ウィリアム大佐は戦地で驚きの行動したり発言もおかしい。

どうも精神疾患を患っているようなのです。

こんな上官のもとで戦うのキツい!

絶妙なブラックユーモア的に描かれていて、重いテーマなわりに気軽に見れてよかったです。

前線で部下がトレーに紅茶と食事をのせて持ってくる場面は、

「イギリス人はこんな状況でも紅茶をポットから飲むのかーい!」

と突っ込みたくなります。

 

「死ぬかも!」

ティージェンスが感じたとき、思い浮かべた女性とは、、、

戦場で支えとなるのは愛する人の存在なんだなぁ。

 

日本で出征直前に結婚したという話を耳にしたことがあります。

ミッドウェー海戦で主力空母「赤城」に乗艦した元海軍整備兵の須藤さんのインタビュー記事があったのでそちらを要約して紹介すると、

 

入隊まで3カ月に迫ったころ、周囲で結婚の話が持ち上がった。

 懇願され、11月3日、19歳の女性と結婚した。

 新婚生活を始めて約1カ月が過ぎた12月8日。

太平洋戦争の開戦。 

万歳三唱の中、大船渡線の摺沢駅で手を振った。

妻のことを考えないようにするのに必死だった。

家族を思い、めそめそすることは「出征兵士の恥」と教えられていた。

参照記事 入隊まで2カ月で結婚、涙こらえ出征 空母「赤城」に乗った100歳

 

つまり何が言いたいかというと、須藤さんが必死になって生き残れたのは妻の存在が大きかったのではないか、ということ。

新婚生活はたった約1カ月ですが、その時間が須藤さんの心の支えになったのではないでしょうか。

須藤さんは4人のお子さんをもうけ、2021年に100歳になられています。

戦争を生き抜いてこられた人は丈夫だと聞きますが、そうかもしれない。

ティージェンスが何歳まで生きたか、それはわかりませんが、きっと長生きしたことでしょう。

ドラマ『パレーズ・エンド』は物事の背景まで描かれていて興味深い恋愛・戦争映画でした。