中央アジアを舞台に、さまざまな結婚模様が描かれる『乙嫁語り』
乙嫁語り 13巻が3月15日に発売されました!
乙嫁語り 13巻のあらすじ
4巻で登場した双子姉妹のライラ、レイリと、双子兄弟のサーム、サーミ。
新婚夫婦の4人は、新居にはじめてのお客様(スミス)をおもてなししたいと申し出ます。
村には「おもてなしができて一人前」という風習があり、思いがけず試練を迎えた4人。
果しておもてなしは上手くいくのでしょうか!?
スミスはかつて世話になった家族(アミルたち)を訪れるためブハラ近くを目指しますが、村人はロシアが攻めてきて治安が悪化しているため「止めたほうがよい」と忠告します。
スミスの旅もいよいよ大詰めです。
漫画家・森薫さんは中学から高校の頃、中央アジア・コーカサス地域にどはまりして、それが『乙嫁語り』の連載につながっています。
そして、実際にカザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタンなど取材旅行されて漫画を描かれています。
画像参照 マンガ大賞 :: 過去のマンガ大賞・ノミネート作品
乙嫁語り 13巻の感想レビュー
これまでの物語も、森薫さんの愛や文化への敬意が感じられますが今巻もよかった~!
物語『木彫り』では、幼子・ロステムと木彫りのおじいちゃんは血が繋がってないんですが、まるで孫のような扱い。
ふたりはどういう関係なのか、あとがき漫画に補足があって、
ウズベキスタンには昔から「マッハラ」という自治町会のようなものがあって、子供も町内みんなで育てるものという意識があります。
なるほどねー。
だから、他人の子供でも相手をするのが日常なんだな、と思ったり。
今巻のいちばん楽しい物語は、『お客様 前編・後編』の、双子の新婚夫婦がスミスをおもてなしする回。
夫は部屋を整え、妻は食事をつくり、材料は夫が調達してくる、といった具合に、新婚夫婦が不器用ながら協力しあう様子が楽しいです。
サームとサーミが、近所から座布団を借りてくる場面があって、そう言えば実家も近所の親戚から座布団を借りてきたことがありました。
いまどき(座布団を借りに走る)なんて無いですよね?
座布団は確か花嫁道具として母が用意したもので、今ほど座布団が安価で手に入らない時代でした。
ある程度の枚数はあったんですが、宴会ともなると座布団の数が足らず、近所から借りるのも珍しくなく。
乙嫁語りには、古き昭和な日本にも通じるところがあって興味深いです。
おもてなしの明るい場面から、スミスが村を出ると、どんどん不穏な空気になっていきます。
体験談『日雇いアルバイトでイラクへ行った。そこで見た地獄 | ジョブリストマガジン』を連想しました。
1980年 、アルバイトでイラクの建設現場に行った私が、突然、ドーン!という地響きがして、イラン・イラク戦争に巻き込まれてしまう話。
『異邦の仔 バイトで行ったイラクで地獄を見た』という小説になっています。
一般人はある日突然戦争に巻き込まれて、命からがら逃げる羽目になるんだなと、つくづく思います。
アニメ・機動戦士ガンダムではフラウボウが空爆で吹っ飛んで、家族は全員死亡してしまう場面があるんですが、家族の遺体を弔うことも叶わず、置き去りにしてヨロヨロと避難するフラウボウ、かと思えば悲しむ暇もなく「誰かいませんか!」と生存者を探しに再び町に出て、戦争って本当に容赦ない。
どの登場人物も、すごくたくましく生きていてまぶしい~!
到底私には無理で、すぐ死にそう。
スーパーへ行けばお肉が買える。
それってすごく幸せですね。