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おおきなかぶ、むずかしいアボカド、村上春樹【読書感想】


前回の村上ラヂオから10年ぶりにカムバックしたおおきなかぶ、むずかしいアボカド 村上ラヂオ2。これは女性雑誌アンアンに連載されていたエッセイをまとめたものです。そのせいか、ちょっと優しい文体で、こんな話があってさ、と話かけられているような感じがします。でも、そこにはまだ親しさはなくて、つい先日に顔見知りになった人から聞いているような感じで、おっ、この人、面白いなぁ、と私は聞き入ってしまうわけです。そして、自分だったらどうしただろう、とか、それをやってみるのもおもしろそうだな、とか、読んだ後に何かしら余韻が残るのです。まぁ、年齢が若い人が読むと「おじさん」のお話という感は否めないでしょうから、大人におすすめです。
小説のような村上春樹節を期待している人には不向きかもしれませんが、村上春樹ファンなら、彼がどんなことを体験して、何を思ったのかを知ることができる貴重な本でしょう。それから、エッセイの最後に小さく「今週の村上」っていう一言が書いてあるんだけど、こういうオマケなものが好きな性分なので、読んでしまいます。まさに「つぶやき」という感じで、そちらも面白いです。私が、へぇ!と感じたのはP33。エッセイ本文を読んでから、今週の村上を読んで、脱力感のある笑いが出てしまいました。ユーモアがあるなぁ。
私には村上春樹さんの小説は難しく、読んでみると「クラッシックをBGM的に聞くのは好きだけれど、コンサートホールに行ってオーケストラを聞きに行くほど好きじゃない」という感覚があります。その点、エッセイは「ビール会社が生産しているウーロン茶なんだけど、そこらへんの専門店のものより美味しいのでまた飲んでみたい」という気持ちになりました。今後も本棚から引っ張り出しては読み返すことになりそうです。

おおきなかぶ、むずかしいアボカド 村上ラヂオ2


色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
書下ろし長編小説
1Q84」がいわばジェットコースター的な物語だったので、それとは少し違うものを書いてみたいという気持ちがありました。
それがどんなものかは、書いてみないとわからなかったけど。
同日から予約が開始され、Amazon.co.jpでは11日間で1万部を突破。

あらすじ
多崎つくるは、木元沙羅と交際中だが、なかなか関係は進展しない。その原因として沙羅は、高校時代の友人から絶交されたことについてのわだかまりがあるのではいかと考えて、つくる自身が当時の友人たちに会って直接話をすることで、事態を打開するように勧める。

そこでつくるは、名古屋とフィンランドに住む友人たちのもとを一人ずつ訪ね、絶交の真意を知る。そのうえで、あらたに沙羅との関係を進展させようと決意する。