レオナルド・ディカプリオ、 ブラッド・ピット出演で、見たいと思いつつ、長編映画でなかなか見れなかった、
映画『 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)をとうとう見ました。
映画『 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』あらすじ
西部劇ドラマ『賞金稼ぎの掟』で人気を博した俳優リック(レオナルド・ディカプリオ)
有名なハリウッド俳優だが、過去のスターになりつつあり、将来の不安から情緒不安定になっていた。
専属スタントマン兼世話係のクリフ(ブラッド・ピット)は、撮影所までリックを送迎する日々を送っていた。
映画『 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』感想レビュー
俳優リック(レオナルド・ディカプリオ)が、さも当時の映画やドラマに出演していたかのように合成されるので、どこからどこまで本当なのか、創作なのか。
とてもマニアックな内容で、クエンティン・タランティーノ監督にしか撮れない映画だと感じました。
映画『大脱走』でスティーブ・マックイーンが主役を降りる騒ぎがあった際、リックが候補にあがります。
想像のリックの大脱走(合成映像)は、本物を知っている人にはニヤリとする場面。
とにかく ブラッド・ピットがかっこいい。
当時のファッションをあんなにかっこよく着こなせるとは!
ただ歩いてるだけでかっこいい。
リーバイスのCMかよっ!
テレビのアンテナを修繕してるだけで、なぜあんなにかっこいいのか!
この場面だけでも見て欲しいなぁ。
演技も認められていて、ブラッド・ピットはアカデミー賞助演男優賞を受賞しました。
クリフ(ブラッド・ピット)は帰還兵で、
喧嘩のアクションシーンは、戦争で鍛えられたのかなぁ、と想像させる喧嘩スタイル。
筋肉のつきかたも、現代のプロテインやサプリメントが発達した肉体美ではなく、当時のマッチョっぽさのこだわりを感じました。
不穏な空気が流れたら、通常はびびったりするものですが、クリフは戦場で鍛えられているのでしょう。
どんな場面でも振る舞いに余裕が感じられます。
しかし、ヘラッとしたその態度が相手をムカつかせる要因にもなっています。
クリフは人気テレビドラマシリーズ『グリーン・ホーネット』の「カトー」役で出演しているブルース・リーに喧嘩を売られます。
この場面ではブルース・リーの描写に差別的なものが感じられますが、タランティーノ監督は資料に基づいたうえで表現しているとはしていますが、描きたかった本質はハリウッドでは喧嘩に勝ったとしても、最終的には「人気」が全てということではないでしょうか。
当時、アジア人が白人の前で大口を叩くなんてこと、できなかったのではないかな。
ブルース・リーはそれが許されているほどの大スターだった、というように読み取りました。
クリフはこの喧嘩がもとでスタント役を外されてしまいます。
当時は当たり前だった演出も、現代に改めて見ると差別的なことが伺える描写も見られます。
シャロン・テート(マーゴット・ロビー)が映画の役で、ひっくり返ってパンツが見える場面があります。
男性客を喜ばせるための演出と思われますが、それでも「映画に出演している」ということがシャロンにはうれしく、映画館で観客に笑いが起きていることにシャロンは満足げです。
性差別について論じたいわけではなく、どんな脇役でも映画に出演していることが素晴らしいことで、映画のチケット代をシャロンが「映画に出演してるという理由」で免除してもらえたのも当時の「映画」の地位を表現しているのではないでしょうか。
タランティーノ監督はブラックすぎるユーモアを得意とするので、
皮肉な演出が面白いと感じるかどうかは個人の好みに大きく分かれると思います。
この映画は1969年にハリウッド女優シャロン・テートがカルト集団チャールズ・マンソン・ファミリーに殺害された実際の事件をモチーフに、当時のハリウッド界が描かれています。
アンビリーバボーで紹介されたこともある事件で、昔の事件ですが知っている人もいるかもしれませんね。
私は俳優リックとクリフの関係が好きです。
古き良き時代の関係というのでしょうか。
リックも懐事情が豊かなわけではなく人情でクリフの雇用を続けているフシが感じられます。
それはクリフが帰還兵なことも影響しています。
リックは「彼は英雄だぞ」と言うことからも伺えます。
またリックは戦場では英雄だったクリフが、社会では不必要とされる現状に、自分を重ねていたのかもしれません。
帰還兵はこれまで数々の映画を見てきた限り、社会復帰が難しく経済的困窮に陥ることも珍しくはありません。
クリフはリックによって、まともな人生を歩めているように見えます。
麻薬のタバコを入手するも、手をつけないでいられたのもクリフに雇われていたからではないでしょうか。
そして、リックもまたクリフに救われていて、
「情けは人のためならず」
(人に対して情けを掛けておけば,巡り巡って自分に良い報いが返ってくるという意味の言葉)
そんなことわざのような関係のように思いました。
最後のシーンで二人が交わす言葉がとても好きです。
ずっと一緒にいたからこそ、あの短いやり取りにギュッと凝縮されたものを感じました。
すすめる人を選ぶ映画ですが、私はこの映画好きでした。
おすすめの映画です。
余談
レオナルド・ディカプリオは映画『クイック&デッド』のオーディションで、知名度の低さから起用を見合わせられそうになりますが、シャロン・ストーンが強く希望し、彼女のギャラからレオナルド・ディカプリオのギャラを出すことで出演が決まったことがあります。
この出演はディカプリオのキャリアに大きな影響があり、そうした経験からこの映画にも思うところがあったのではないでしょうか。
ヒッピーな女の子が登場する場面があります。
映画「タクシードライバー」を見たことある人なら、彼女のファッションでピンッとくるものがあると思います。