実話に基づいたテレビドラマ『英国スキャンダル~セックスと陰謀のソープ事件』を見ました。
クラシカルなスーツ姿のイケオジ、ヒュー・グラントは見応えあり。
衣装デザイナーはスザンヌ・ケイヴ。
『英国スキャンダル~セックスと陰謀のソープ事件』あらすじ
同性愛が違法だった1965年。
次期自由党党首の座を狙う下院議員・ソープ(ヒュー・グラント)は、美青年・ノーマン(ベン・ウィショー)と破局。
経済的な後ろ盾を失ったノーマンは、ソープの家族に関係を暴露し繰り返し金銭を要求する。政治生命の危機を感じたソープは、ノーマンに殺意を抱き始める。
制作
時代考証や関係人物の描写など、細部まで徹底した作りは英BBC製作ならでは 。
『グリフターズ/詐欺師たち』『クィーン』でアカデミー賞に2度ノミネートされた
名匠スティーヴン・フリアーズが監督を手がけ、脚本は人気英国ドラマ「ドクター・フー」のラッセル・T・デイヴィース。
ベン・ウィショーはこのテレビドラマで第76回ゴールデングローブ賞ドラマ部門助演男優賞及び第71回プライムタイム・エミー賞助演男優賞を受賞しました。
テレビドラマ『英国スキャンダル~セックスと陰謀のソープ事件』(感想レビュー)
当時、男性同士の性活動はイギリス全土で非合法であり、また重い刑事的処罰が科されていたからバレたら大変です。
下院議員・ソープは支援者の馬丁で、上半身を清めていた美青年・ノーマンに出会います。
ベタなBL的展開すぎて笑えてしまう。
だけどその潔さが、かえってエロくなくて見やすい。
政治がらみや時代背景がありつつもわかりやすいテレビドラマでした。
この事件はソープ事件としてウィキに紹介があります。
参照リンク ソープ事件 - Wikipedia
1965年には違法だった同性愛も、1967年には違法ではなくなりました(年齢制限あり)
2005年に同性同士のカップルの権利保護と婚姻の代替制度として「シビル・パートナーシップ」が導入。
2014年、イングランド・ウェールズ地方及びスコットランド地方で同性婚が合法化。
そしてついに、2015年、同性婚合法化。
これを受けて、2016年エリザベス女王のいとこであるアイヴァー・マウントバッテン卿(右)はバイセクシュアルを公表。
2018年にはジェームズ・コイル(左)とイギリス王族として初の同性婚をしました。
時代は変わった!
参照リンク アイヴァー・マウントバッテン - Wikipedia
個人的に気になったのは、ふたりのウェディングでアンコウ料理がでたこと。
アンコウ料理!?
報道によると、挙式ではゴスペルグループによるパフォーマンスが披露され、ディナーにはアンコウ料理が振る舞われたという。
アンコウのエスカベッシュやグリエなどの料理のようです。
マウントバッテン卿はカミングアウトした際の心境について以下のように語っています。
「(これまでセクシャリティを隠してたのは)マウントバッテンという一族の一員だからではなく、すべての原因は生まれた時代でした。
私の育った時代は、同性愛とはつまり“絶対に語ってはいけない愛”と呼ばれていたんです。
時代が変わり、多様な愛が受け入れられるようになったことは素晴らしいことです」
マウントバッテン卿は1963年生まれ。
ソープ事件の頃は2歳です。
そんな彼でも同性婚が合法化する2016年まで秘密にしなければならないことだったのです。
もしも、ノーマンとソープが出会った時代に、同性婚が合法化されていたら事情は変わっただろうか。
同性愛は宗教的なことも関係してくるので、ヨーロッパでは激しく弾圧された時代もあります。
日本では同性愛は一時的に明治に禁止はされたものの、違法ではない時代のほうが長く、どちらかというと日本の歴史においてそれらは肯定的なものと捉えられていましたから、テレビドラマを見ても深刻さをイマイチ理解できないところもあると思いますが、興味深い内容でした。
参照リンク 日本におけるLGBTの権利 - Wikipedia
ヒュー・グラントが好きなら、クラシカルスーツ姿が素敵で、
ブラックな顔も見られて、おすすめなテレビドラマです。
余談1. 黄色い車のホンダ
映画で「黄色い車のホンダ」がでてきます。
車に詳しくはないけれど、多分、S800(1966~1970年)「エスハチ」
この時代に日本車がイギリスを走ってたんだなぁ。
関連リンク HONDA AUTOMOBILES S800
余談2. ヒュー・グラントについて
ヒュー・グラントは若い頃、同性愛の男性たちを描いた『モーリス』(1987年)でヴェネツィア国際映画祭 男優賞を受賞し、世界的に知られる俳優になりました。
当時、『モーリス』はセンセーショナルで、長年、ヒューグラントは同性愛役のオファーが大量に来たり、あの映画を制作すべきだったのかどうか問われたり、うんざりするほどに影響は大きく、その反動ゆえに「ロマンティック・コメディの帝王」に成り上がったようにも見えます。
そんなヒュー・グラントが歳を経て、再び同性愛の映画に出演するというのは、ちょっと衝撃的でした。
インタビュー記事を読むと、実在の人物であるソープや描いた脚本に魅力を感じたからのようです。
・出演を決めた理由は?
承諾するのは簡単だったよ。なぜなら、監督のスティーヴン・フリアーズとはその少し前に『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』でも組んでいて、楽しい時を過ごしたし、できた映画もいい出来だったからね。それにラッセル・T・デイヴィースは素晴らしい脚本家だ。ジョン・プレストンの原作もすでに読んでいて気に入っていたしね。 それに何と言ってもキャラクターが素晴らしい。魅力とウィットに富み、政治家としての才能もある人物が、内にはダークな面を備えているんだ。
・歴史上の出来事を映像化するのは楽しかったですか?
個人的に興味深かった。ソープが裁判にかけられた時、たしか僕は19歳だった。
本作は僕の生まれた1960年頃から30年くらいの間を描いていて、少年時代とリンクしていた。セットにあるものすべて、タバコの箱やビール瓶から、トイレットペーパーに至るまで当時と同じなので、目にしてとても変な気分だったよ(笑)
参照リンク
余談3. ベン・ウィショーについて
ベン・ウィショーは『007 スカイフォール』(2012年)にて、ジェームズ・ボンドを支えるQ役を演じています。
マーク・ブラッドショウと2012年に同性結婚した後に、ゲイであることを世間に公表。
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』でQの自宅を突然訪問してきたジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)と、MI6の上司M(レイフ・ファインズ)に、男性とディナーデートの約束があることを伝え、同性愛者であることを匂わす演出になっています。
この演出には後にインタビューで不満を述べています。
そんな彼があえて美青年・ノーマンを演じ、数々の賞に輝いたことをうれしく思います。
<声優>
・ノーマン・スコット(ジョシフ):ベン・ウィショー(小野 友樹)/「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない」東方仗助
・ピーター・ベッセル:アレックス・ジェニングス(内田 直哉)
U-NEXT(映画観るなら<U-NEXT> )で見ました。
本ページの情報は2023年10月時点のものです。
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