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アメリカ空軍基地の司令官が狂って核攻撃を命令。名作映画『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』感想レビュー

 

 

名映画「博士の異常な愛情・または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」をご存知でしょうか。 

この映画は、最高のコメディ映画の一つであると同時に、史上最高の映画の一つであると考えられています。

何かの記事を読んで「見たい」と思ったんですが、多分『沖縄の生活史』関連の記事を読んでたどりついたような気がします。

 

物語は、

アメリカ空軍基地の司令官リッパー准将が精神に異常をきたし、

ソ連に「R作戦(核攻撃)」を命令、

対応に追われる政府や軍の上層部を描きます。

スタンリー・キューブリック監督が1964年に撮った映画です。 

映画観るなら<U-NEXT> で見ました。 

 

 

 

古い映画ですが、面白くてびっくり。

核ミサイルの話なので面白いと言うと語弊があるかもしれないけれど、ブラックコメディ映画として撮られています。

退屈なところが無い。

 

ストレンジラヴ博士は元祖マッドサイエンティストという感じ。

数々の作品の天才科学者のイメージになっていることは間違いないでしょう。

しかもストレンジラヴ博士、イギリス空軍マンドレイク大佐、アメリカ合衆国大統領を演じた俳優がひとり3役演じているのにもびっくり。

言われなければ気がつかないレベルです。

 

この映画はさまざまな作品に影響を与えていることが伺えます。

例えば映画『新・ゴジラ

非常事態に「想定外だ」と話し合う政府や軍の上層部のやりとりなど。

音楽もどこかで似たフレーズ聞いたことがあるんですが、作品が思い出せません。

 

また、『スター・ウォーズシリーズ』のダース・ベイダーの声で知られるジェームズ・アール・ジョーンズがゾッグ少尉で登場します。 若い!

 

博士の異常な愛情」の印象的な場面(感想レビュー)

 

アメリカ空軍司令官リッパー准将が言います。

共産主義者が水を飲むところを見たことがあるか?

奴らはウォッカだけだ、水は飲まん。

 

人間には新鮮な真水が必要だ。

水にフッ素を入れる話を?

わからんかフッ素を入れるのは共産主義者が考えた。

 

フッ素を他のものに入れる研究もおこなわれている。

塩、小麦粉、ジュース、スープ、砂糖、ミルク、そにれアイスクリームにも

 

国民は何も気づかず、他に飲む水があるわけでもない。

いつもの共産戦法だ」

 

リッパー准将は水のせいで自分はおかしくなったといった発言があります。

ちょうど「水道水の水源から高濃度フッ素化合物PFASが検出された」ニュースがあったのでドキッとしました。

 PFAS(ピーファス)は沖縄県や神奈川県の米軍基地周辺や大阪府の工場周辺の河川などから国の目標値を超える値が相次いで検出されています。

1964年からフッ素問題を映画で触れられているとは驚きました。

 

 参照記事 

【PFAS汚染】沖縄、神奈川、大阪など…全国に広がる“永遠の化学物質”の影響と対策 - NHK クローズアップ現代 全記録

 

リッパーは准将はフッ素入りの水を恐れるあまり雨水や薬用アルコールを飲んでいると言います。

薬用アルコールを飲むのはアルコール依存症の人にも見られる行為です。

アルコール依存症になると、不安、不眠、イライラなどを引き起こし、やがて妄想などにも進展します。

リッパーは准将が精神異常をきたしたのは薬用アルコールの飲み過ぎでアルコール依存症になったのだと想像します。

 

アメリカ空軍司令官リッパー准将が聞きます。

「拷問はされたか?」

「されたよ、日本人に拷問されたがその話はよそう」

イギリス空軍マンドレイク大佐が答えます。

「それで?」

「なんというか、あまり覚えてなくてね、、、

 そう、日本兵にラングーン鉄道に連れて行かれてね、鉄道を敷かされた。」

「拷問で口は割ったのか?」

「いや、割らないが。奴らはしゃべらせる気などなかった。

 あのブタどもは人をオモチャにしたのさ。

 そんな奴らがあんないいカメラを作る」

 

ラングーン鉄道とは

ラングーン鉄道は、太平洋戦争中にタイとミャンマーを結んでいた鉄道。

大量の死者を出した過酷な建設労働から、英語圏ではむしろ「死の鉄道 (Death Railway) 」の名で知られる 

特に工事の後半の1943年には一日10時間以上の労働作業になった。

虐待、食料不足からくる栄養失調とコレラ赤痢天然痘等の伝染病、マラリア、熱帯潰瘍にかかり、死者数は莫大な数に。

題材にした映画『戦場にかける橋アカデミー賞作品賞

 

参照リンク 泰緬鉄道 - Wikipedia

 

ラングーン鉄道について詳しく知りたい方は、 1941(昭和17)年3月、ビルマの首都ラングーン(現ミャンマーヤンゴン)に派遣された鉄道第五連隊の兵士だった木下幹夫氏の証言が収められている「ミャンマーからの声に導かれて」

 

イギリス空軍マンドレイク大佐が、まさかラングーン鉄道で捕虜になった経験があったとは驚きでしたし、そんな会話をするのも意外でした。

マンドレイク大佐が会話の途中でそっぽを向いて、あえて表情を見せない演出が心境を表現していると感じました。

「そんな奴らがあんないいカメラを作る」は、印象に残るセリフ。

 

リッパー准将はマンドレイク大佐の話を聞いた後、拷問を恐れ自殺を図ります。

それほどラングーン鉄道の拷問の酷さをリッパー准将は知っていたのでしょうし、自分にはその拷問に耐えられないと恐れたのでしょう。

戦争の酷さを間接的に伝えていると思います。

 

マンドレイク大佐は基地襲撃で空軍本部の直通電話が繋がらなくなったため、

公衆電話からアメリカの大統領へ電話を掛けようとします。

しかし「小銭が足りない」

真剣な顔で言うから、ちょっと面白い。

コカ・コーラの自販機を撃って小銭を出すけど、馬鹿馬鹿しいやり取りがコミカルで面白い。

だけど当人たちは本気で笑うことはありません。

 

映画の冒頭にアメリカ空軍による「映画はフィクションであり、現実には起こりえない」との趣旨の解説が流れます。

だけどこの映画を見た人たちは(起きそうだよね・・・?)と感じていたと思います。

 

 

本ページの情報は2023年10月時点のものです。

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