アニメ映画「エセルとアーネスト ふたりの物語」(感想レビュー)
現在、80・90代のおじいちゃんおばあちゃんの子供の頃がどんな時代だったかご存知でしょうか?
有名な絵本のアニメ映画化と聞いて興味を持った「エセルとアーネスト ふたりの物語」
チラッとみたら、絵本らしい絵がそのまま動いててなかなか面白いと思ったので見ることに。
後で知ったのですが、「スノーマン」「風が吹くとき」などで知られる絵本作家レイモンド・ブリッグズが、自身の両親について描いた傑作絵本をアニメーションで映画化したものでした。
「風が吹くとき」をご存知の方ならピンッときますよね。
じゃがいもの袋に入るあれです。
テレビではじめて放映されたとき、アニメ=子供向けのイメージがあったので、大人向けの内容なので気をつけるように注意が促された記憶があります。
有名絵本作家!どうりで力が入ってる映画だと思った!
声の出演は、英国の名優ブレンダ・ブレッシン、ジム・ブロードベント、ルーク・トレッダウェイ。
エンディング曲をポール・マッカートニーが書き下ろし、自ら歌い演奏している力の入れよう。
時代は1928年。
牛乳配達人のアーネストは通勤時に窓拭きをしているメイドだったエセルと顔見知りで、手を振るような仲になります。
「きみが雑巾を振ってくれたものだから、映画のお誘いに来たよ」
アーネストはエセルをデートに誘います。
お付き合いってそんな感じにはじまるんだ。
彼らが見た映画は「血涙の志士」
映画館は生演奏!
当時のタクシーやファッション、手回し式の脱水機やブラウン管テレビ、ダイヤル式の黒電話など、昭和世代には懐かしいものが登場します。
驚くのはそんな昔からロンドンバスは2階建てだったこと!
牛乳配達も、はじめは押し車ですが電気自動車が登場します。
えー!電気自動車で牛乳配達してたの!?
ふたりは結婚し、ロンドン郊外のウィンブルドンに家を構えます。
そのときエセルは35歳。
当時かなり晩婚では?
ダウントンアビーでもメイドの結婚は大変そうだったなぁ。
結婚して2年後、エセル37歳は妊娠しないことを嘆いていました。
1年後、難産で息子レイモンドを授かります。
そのレイモンドこそ、将来、絵本作家になるレイモンド!
しかしレイモンドが5歳の時、戦争が激しくなり子供達は疎開させられます。
紙の札をつけられて子供達は汽車に乗って田舎へ。
ロンドンに残った両親の家には、防空壕キットが配給されたり、ますます戦争が酷くなると、動物檻のような防空檻を家の中で組み立てその中で眠ります。
各家庭に配給されていたのがすごい。
ラジオで「広島に落とされた原爆の被害者は推定10万人とされ...」ニュースが流れます。
「爆弾ひとつで10万人が死んだこと」に驚くアーネストに対し、エセルが「でも、これで戦争がなくなるかも。戦争できないもの。最初の日にみんな死んじゃうから」と言うのが印象的です。
1945年、終戦を迎えます。
どんどん毛が薄くなるアーネスト。
この描写を見て気がついたのだけど、イギリス人は額の両サイドから禿げやすいみたい。
シャツとベストのファッションもイギリス人らしい。
青年になったレイモンドは、美術を勉強したいと言い出します。
絵本作家への道を着々と歩んでいきます。
1969年、アポロの月面着陸をテレビで見ているアーネストとエセル。
エセルはソファーに横たわり、テーブルには薬が置いてあります。
病気になったんだわ....
病気の詳細は語られませんが、老いていく姿が描かれています。
そしてエセルの死。
ちょっとこの絵本、渋すぎない!?
エセルが亡くなると、黒猫がアーネストの肩にのっています。
黒猫はアーネストの膝にまるまったり、ベッドで一緒に寝たり、べったりです。
このまま静かに歳をとっていくのかな、、、と思った矢先、アーネストが腹痛で苦しむ姿が!
ちょっと!ちょっと!
どういう絵本!?
アーネストが腹痛が生々しい...
声優はジム・ブロードベント。
映画「アイリス」(2001年)でアカデミー助演男優賞と ゴールデングローブ賞 助演男優賞を受賞するなど実力派俳優なだけあります。
ハリーポッターのホラス・スラグホーン役のほうがわかる?
イギリスの当時のごく普通の夫婦の41年を描いたアニメ映画「エセルとアーネスト ふたりの物語」おすすめです。
予告

