2009年の民主党政権での予算の仕分け会議(税金の無駄遣いをチェックする会議)にて、スーパーコンピューター(スパコン)「京」の開発計画について、
「2位じゃダメなんでしょうか」
「なぜ1位なんでしょうか」
質問の真意は、1位になればどんな研究ができるのか、国民のメリットは何か、2位になる不利益は何かだったのですが、官僚と研究者の答えは
「世界一になることで国民に夢を――」
夢!?ざっくりすぎる返答。
予算に見合った成果を説明できず、世界一の性能を目指すスパコン「京」の開発計画は凍結されました。
それを見ていた後にスパコン「富岳」の開発に関わることになる研究者・松岡聡さんは、多様な研究に貢献できるスパコンはどうあるべきかを考えたと言います。
そしてようやく、国民にわかるかたちでスパコンが活かされています。
5月28日からはじまる、気象庁、線状降水帯による大雨の半日程度前から府県単位の呼びかけです。
気象庁、線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけの新たな運用について~府県単位での呼びかけを開始します~
参照画像 気象庁
2024年は沖縄・奄美が21日に梅雨入り、九州や四国は5月下旬に梅雨入りする見込みで、大雨をもたらす線状降水帯が発生しやすくなる季節に突入します。
線状降水帯が生じると、数時間にわたってほぼ同じ場所で強い雨が降ります。
気象庁からの線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけについて5月28日(火)から、対象地域を府県単位に絞り込んで呼びかけがはじまります。
これにより、気象庁では夜間に線状降水帯による大雨の可能性が予想された場合などに、明るいうちから早めの避難につなげられると考えています。
また、市町村の防災担当に、避難所開設の手順や水防体制の確認等、災害に備える初動に役立つことが期待されます。
避難しようと思ったときには大雨で、危険な中、避難所へ向かった、
避難の呼びかけと同時に河川が氾濫した、
避難所へ行ったのに鍵が閉められていて避難できなかった、
という例が過去にありましたが、それらが解消されそうです。
強化した気象庁スーパーコンピュータを用いて予報時間を10時間から18時間に延長した水平解像度2kmの局地モデル(LFM)の計算結果や、メソアンサンブル予報(MEPS)を用いた危険度分布(キキクル)も活用。
気象庁スーパーコンピュータは2023年3月に導入され、更新前のスーパーコンピュータの約4倍の計算能力になったそう。
(参照記事 台風や集中豪雨の予測精度向上に貢献する気象庁様の新スーパーコンピュータが稼動開始 : 富士通)
去年は2023年6月1日~3日にかけて梅雨前線や台風2号から流れる湿った空気の影響で西~東日本の太平洋側を中心に大雨となり、奈良県~大阪府を流れる1級河川である大和川では氾濫が発生しています。
去年のニュース動画
2023年7月13日には、富山県で線状降水帯による大雨で土砂災害が発生し、避難の呼びかけを行っていた市議会議員の方が亡くなるという痛ましい被害が発生、7月15日には、秋田県で車中に取り残され1名の方が亡くなりました。
(参照記事 2023年の気象災害まとめ|Gaia Vision Inc.)
近年は電車の計画運休もおこなわれるようになりましたが、
巨額な税金を投じて妥当な成果なのか、これからもスパコンは問われると思います。
2024年5月14日、スーパーコンピューター「富岳」が2つの部門で9期連続となる世界1位に輝いています。
2024年4月には経済産業省は人工知能の開発に使うスーパーコンピューターの整備費用として、さくらインターネットやKDDIなど5社に対し、合計で最大725億円を補助すると発表しました。
生成AIの開発力強化に向けたプロジェクト「GENIAC」の一環です。
生成AIは、インターネット等に匹敵する技術革新とも言われており、労働力不足などの社会課題の解決にも貢献すると期待されている革新的な技術と経済産業省は考えています。
参照記事
・世界一のスパコン「富岳」、「2位じゃダメなんですか」への科学者の答えだった…2009年11月[あれから]<30> : 読売新聞