スポンサーリンク

40代おひとりさま女子の日常「泡沫日記」酒井順子


酒井 順子さんと聞いてわかるだろうか?

負け犬の遠吠え を書いた人と言えば読んで無くても「あぁ!」と思うのでは?

かくゆう私も負け犬の遠吠え は読んだことは無いけれど「あぁ!あのひとね!」とわかりました。

負け犬の遠吠え が発行されたのは2003年で、おおよそ10年前だというから驚き。

話は逸れるけれど、この負け犬の遠吠え の装丁をしたのは佐藤可士和さんだと聞いて、なるほど、あの印象的な装丁や話題性に合点がいったのでした。


さて、本題ですがその酒井 順子さんが40代になり書いたエッセイ「泡沫日記」を読んでみました。

題名の「泡沫」は(うたかた)と読むのが一般的かと思いますが、あえてふりがなで(ほうまつ)としているところに注目したいところです。

ま、考えすぎまもしれませんが、

(うたかた)は方丈記にも用いられた言葉で、 「消えやすくはかないことのたとえ」であり、ワビサビの美しい世界観が秘められているように思います。

(ほうまつ)は「あわのようにはかない,または取るに足りないもののたとえ」であり、ニュアンス的に侮蔑が込められている印象です。


泡沫日記
人生後半の初体験日記。
親の死、介護、我が身の老化、友人の死、花粉症発症などなど、40代女子には初めてのことが次々と訪れる。
そして東日本大震災。著者の身辺を通して「今の日本」が浮かび上がる、初の日記風エッセイ。

冒頭部分を読んで、40代になると再び「初体験」することが増える、とあり、喪主、弔辞、老化、など、なるほど言われてみればそうかもしれない、と思います。

40代を迎えた人は「そうそう!」と思うだろうし、40代に差し掛かろうという人には「こういうことが起きるかもしれない」という予習にもなりそう。

けれども、そんな勉強じみた内容では無く、酒井 順子さんの独特の視点から描かれる生活は、山下和美さんの「数奇です」に通じるところがあります。

震災にあって節電を心掛けているとこらへんなどは似てたかな。(でも、多くの人がそう思っていたとは思う)

レジに並びながら、引越し屋さんに荷物をお願いしながら、フッとそのときに考えたことなどが興味深く読めました。



実は私はなんとなーく、パッと本を開いたときに、最初から読む気がしないときがあって、そんなときは目次から好きなものを選んで、そこからまず読んでみるときがあります。

今回もまさにそのパターンで、多分、冒頭の「ガードル」の話から読む気になれなかったんですね。

きっと「苦しい、、、」とか身が窮屈な話なんじゃないかと思って。


負け犬の遠吠え を書いた人が捉える「介護」が気になったので、その目次から読みだしたところ、目次「子育て」にて「卓球のレッスンをキャンセルし」という文面で、卓球のレッスン!?と新鮮な言葉にニヤニヤしたのでした。

最初から順番に読めば著者が卓球を習い始めたくだりがあるんですけれど、そこをすっとばしての「卓球のレッスン」という言葉は、「大人になってから卓球のレッスンを受ける人がいるのだなぁ」と衝撃の事実だったのです。

大人になってから卓球をやる人というのは、昔にやっていて今でも得意だから、とか、そういう類の人がやるスポーツだと思っていたからです。

そうか。

酒井 順子さんは私の周囲にはいないタイプなので、自分の知らなかったことや、新しい考えを知ることができてよかったです。


アンソロジー おやつ
思わずにんまり、至福の時間。おやつに育てられ、おやつに癒やされる。甘いも辛いも42篇。

阿川佐和子 (著), 阿部艶子 (著), 江國香織 (著), 尾辻克彦 (著), 開高健 (著), 角田光代 (著), 木皿泉 (著), 久住昌之 (著), 久保田万太郎 (著), 幸田文 (著), 小島政二郎 (著), 酒井順子 (著), 荒川洋治 (著), 佐藤愛子 (著), 獅子文六 (著), 柴崎友香 (著), 東海林さだお (著), 武田百合子 (著), 辰野隆 (著), 種村季弘 (著), 團伊玖磨 (著), 筒井ともみ (著), 長嶋有 (著), 安野モヨコ (著), 中村汀女 (著), 蜂飼耳 (著), 林望 (著), 藤森照信 (著), 古川緑波 (著), 三浦哲郎 (著), 南伸坊 (著), 向田邦子 (著), 村上春樹 (著), 森茉莉 (著), 池波正太郎 (著), 森村桂 (著), 矢川澄子 (著), 伊集院光 (著), 五木寛之 (著), 井上靖 (著), 内館牧子 (著), 内田百けん