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お正月にふたりで一緒にいらっしゃい、と誘った母が後で「本音では無かった」と明かす。劇場版「きのう何食べた?」(映画・感想レビュー)おすすめ映画

 

劇場版「きのう何食べた?」がAmazonPrimeで11月3日から配信スタートしたので見ました。

 

 

劇場版「きのう何食べた?」(あらすじ)

 

きのう何食べた?8巻から、

#59 京都旅行  

#61 佳代子さんの孫の名前 

#62 家事をしない田渕君 

#61 ケンジの実家

 

きのう何食べた?9巻から、

#66 助っ人・佳代子さん

#69 ケンジとシロのお正月

#72 花見

 

 きのう何食べた?10巻から、

 #78 ケンジの頭頂部がきてる話

 

  きのう何食べた?11巻から、

#87 スーツのケンジ

 

  きのう何食べた?12巻から、

#94  小日向と航が恋人になった過去エピソード

 

  きのう何食べた?6巻から、

 #44 殺人罪で懲役9年の話

 

エピソードの取りこぼしがあるかもしれませんが、映画の内容はこんな感じです。

 

 映画に登場する「シロさんの料理」や、

シロさんとケンジがはじめて旅した「京都ロケ地ガイド」は、

劇場版 きのう何食べた? オフィシャルブック』 がおすすめ。

 

 

劇場版「きのう何食べた?」(感想レビュー)

 

京都ロケがあるからって、映画にする必要ある?と思ってたんですが、エピソードを通しで見せることで「関係」について深掘りされていて、なるほど映画の尺の必要性を感じる内容でした。

ただしコミックどうりにエピソードが描かれているわけではなく、アレンジが加えられています。

 

お正月にケンジとシロさんとふたりで一緒にいらっしゃい、と誘ったシロさんの母でしたが、後で「本音では無かった」と明かされます。

それを聞いたケンジは気にしてないフリをしますが、内心は傷ついています。

コミックではケンジはもう少し違う感じで描かれていて、なんと言うかケンジはもっと「たくましい」かもしれない。

映画ではケンジの内面を深掘りすることで、母親が放ったその言葉が相手をどれだけ傷つけるか描いていきます。

映画ではケンジとシロさんの関係は親密になっていきますが、その出来事はふたりの心にモヤッとしたものを残し、モヤッを抱えながら日々暮らしていく様子が丁寧に描かれています。

(ケンジ演じる、内野聖陽さんの繊細な演技が光ってます。その高い演技力から2021年に紫綬褒章を受章されました)

 

それ以降、ケンジの行動を怪しく感じているシロさん。

今日こそはケンジとちゃんと話をするぞ、と思っていたところへ、小日向さんが、航が行方をくらましたことを相談に来ます。

 

「あなたを困らせるためにやってるに違いないです。

たまには年上の男らしくどーんと構えて、お前なんか気にして無いって顔でのんびり構えてたらどうですか」

 

そう言うシロさんに、小日向さんは言います。

 

「そんなことできるわけないでしょ!

 大切な人が自分の前から消えてしまうかもしれないんですよ

 平気な顔してられるわけないでしょう!」

シロさんの心にズドーン!と響きます。

(小日向さん演じる、山本耕史さんの演技力が光ってます)

 

シロさんは両親との付き合い方を改めたり、シロさんは自分なりの答えを出していきます。

人間関係に正解は無いですね。

でも、シロさんの行動を見て、共感したり、しなかったりすることで、自分の人間関係の在り方も見えてくるように思います。

 

 #44 殺人罪で懲役9年の話は、コミックを読んで心に残るエピソードでした。

映画ではきれいにまとまってはいるものの、内容の方向性が変えられていてシロさんのセリフにキャラクターの矛盾が生じたように感じました。

コミックは厳しい現実をたった1コマで伝えると共に、若先生が刑事裁判にのめり込むきっかけになる案件であり、シロさんのスッと寒い風が心に吹いたような表情が印象的です。

ふたりは大先生のような志を持った弁護士として成長していますが、すべての人を心から満足できるカタチで救えるわけでは無く、己の無力さを感じる瞬間もあるのです。

 

劇中で、佳代子さんが孫の誕生をシロさん達に報告する場面があります。

コミック7巻の描かれ方とは全然違っています。

コミックでは、佳代子さんの意外な一面が見られる大事な場面になっていますし、シロさんが人に寄り添った会話ができる人物だからこそ佳代子さんもポロッと話した、というシロさんの人柄も表現されていて、大変奥深いエピソードです。

#51  富永さんに誘われて、急遽、お昼をご馳走になる話

 佳代子さんがシロさんに娘の妊娠を報告するエピソードです。

 

映画はよくできていて誰もが楽しめるエンターテイメント性の高い映画になっています。

しかし、エピソードが端寄られてるのはやはり残念に思います。

ぜひコミックもあわせて読んで欲しい、おすすめの映画です。