悠久の大地に生きる遊牧民と定住民の物語 『乙嫁語り』 特集 >>
乙嫁語り 14巻(あらすじ)
19世紀、中央アジアの冬
アミル(20歳)とカルルク(12歳)で結婚して、もうすぐ1年経つ
中央アジアの北方ではロシアが南下を企てていた
草原の者、町の者はロシアに対抗するため同盟を結ぶことになる
ハルガル家の長であり、アミルの兄・アゼルは、血縁を結び結託するため、ジャンディク家の娘との結婚話が持ち上がる
しかし、娘との勝負「馬競べ」に勝つのが条件
1巻から14巻までの時の経過が約1年ということになります。
乙嫁語りは2008年に連載開始で、今年で14年目。
カルルクは成長しているものの、まだまだ子供。
カルルクが大人になるまで読みたいけどなぁ。
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乙嫁語り 14巻(感想レビュー)
乙嫁語りは異文化が楽しめるのが魅力の漫画だと思います。
14巻は「馬競べ」で馬が疾走します!
なんと52〜128ページまで馬が走る!走る!
作者・森薫氏があとがきで「おかげさまでだいぶ馬欲が満たせました」と言うくらい馬が描かれ、ノリにのって描いた様子が伺えます。
それはもう馬がイキイキしてます。
一族の命運をかけた勝負は見応えあり!
表紙になっているので、ネタバレでもないと思うんですが、
アゼルとジャンディク家の娘、ジャハン・ビケの婚礼姿が描かれています。
美しい。
毎回思うけど、緻密な絵をよく描く!
ちなみに、2021年08月20日から『乙嫁語り<ワイド版>』が発売されていて、原画で描かれた迫力を楽しむことができます。
画集として購入されてるファンも多く、現在11巻まで販売されています。
公式動画で中身が見れます
【公式】漫画を<紙>で味わう至福がここに。~『乙嫁語り<ワイド版> 1』~ YouTube
14巻を読んで「アゼルが結婚できてよかった!」としみじみ思いました。
というのも、乙嫁語り 10巻で、ハルガル家・ジョルク達(アゼルの従兄弟)が言うんです。
「(結婚)したいのはやまやまだけど、簡単に言えば先立つものがないわけよ」
「皆わかってる、このままじゃ一族が途絶える」
血を絶やすことを望まないため、アゼルはいつかは結婚するだろうとは思ってました。
ですが、この状態でどうやって結婚するのだろう?と気になっていたのでした。
アゼルはイケメンですが、だからって結婚できるわけでもない。
結婚とお金の問題は、乙嫁語りには欠かせないお話で、4巻の双子の結婚では親同士の話し合いで「物は相談なんだが、結納金まけろ」なんてエピソードもあります。
「懐が寒くても息子たちに嫁をもらってやりたい親心がわからんのか!」
子を想う親心をコミカルに描いている面白いお話です。
3巻では、イギリス人を目的地まで送り届けるガイド・アリが金払いの良い仕事を引き受けた理由は「結納金にして嫁さんもらう」でした。
乙嫁語りは一般的な恋愛漫画とは異なり、基本的には親が決めた相手と結婚します。
しかし、子供に意見を聞いて決めている側面もあり、好意を抱いた相手と結婚することもあり、昭和初期の日本の結婚に似てると思います。
小津安二郎の映画『秋刀魚の味』(1962年)は親が娘・路子の縁談を考える話で、乙嫁語りに通じるものがあると感じます。
母が亡くなり、路子が家事を担っていたため行き遅れる境遇はアミルと重なります。
乙嫁語りでは、その人の生まれ育った環境の価値観が表現されていて面白いと思います。
アゼルは「いちばん強い」女性をお嫁さんにもらいました。
ひと言で表現するとそうなんですが、アゼルは「馬競べ」での戦いを通して、ジャハン・ビケという人がどんな人か理解し、そのうえで彼女に決めたのだと思います。
14巻で「馬競べ」の戦いをぜひご覧ください。
私はこれまでの乙嫁語りで『コミュ障のパリヤ』のお話が好きです。
パリヤはその性格からなかなか縁談がまとまりません。
けれども、思いがけないことであっさり縁談がまとまります。
短所だと思いがちなことも、好ましく思ってくれる人もいるんですよね。
乙嫁語りは「結婚」に悩んでいる人に、何かヒントが得られるかも。
おすすめの漫画です。
9巻はパリヤが誤解を解くために、パンを使って懸命に説明する場面が表紙になっています。
大好きなウマルとの距離がぐっと近づきます。
この丸いパン食べてみたい。






