アカデミー賞受賞の作曲家たちが語る、
ドキュメンタリー映画『すばらしき映画音楽たち』を見ました。
映画音楽とは、
「音楽は映画の魂だ」
「狙った通りの感情を引き出す潤滑剤だ」
「映像では伝えられない感覚に訴えかけるものだ」
この映画を見るとなるほどその通りだとわかります。
登場する作曲家は、
ベアー・マクレアリー「ウォーキング・デッド」
トム・ホルケンボルフ「マッドマックス 怒りのデス・ロード」
ハンス・ジマー「グラディエーター」「インセプション」「レインマン」「ドライビングミスデイジー」「パイレーツオブカリビアン」
ブライアン・タイラー「ワイルド・スピード」「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」
マーヴィン・ウォーレン「ウェディング・プランナー」
ジョン・ウィリアムズ「ET」「ジョーズ」「スター・ウォーズ」
アレクサンドル・デスプラ「グランド・ブタペスト・ホテル」「英国王のスピーチ」
エリオット・ゴールデンサール「フリーダ」「バットマンドーエヴァー」
トーマス・ニューマン「007/スカイフォール」「ショーシャンクの空に」「アメリカン・ビューティー」「グリーンマイル」
スティーヴ・ジャブロンスキー「トランスフォーマー」シリーズ
など盛りだくさん。
他にも、
などが登場します。
『すばらしき映画音楽たち』予告動画
『すばらしき映画音楽たち』感想レビュー
監督と作曲家の打ち合わせ風景から、音楽を収録する様子、
20世紀FOXの映画がはじまる前に流れるファンファーレのあの曲の話、
ハンス・ジマーの若かりし頃の驚きの映像など、
興味深いエピソードが盛りだくさん。
最後まで楽しく見られるドキュメンタリー映画でした。
作曲家、ジョン・ウィリアムズがスティーヴン・スピルバーグ監督とジョーズの音楽のエピソードを楽しそうに話す貴重な過去映像は見ているこちらも楽しくなります。
オーケストラの映画音楽で興味深かったのは、クラシックコンサートのような音の正確さではなく、雑味のある音が好まれる傾向にあること。
その音が、感情を揺さぶるというのです。
スティーヴ・ジャブロンスキーは「トランスフォーマー」で劇中、よりドラマチックにするためホルンで観客の心を揺さぶることについて丁寧に説明していました。
ホルンってあのくるっとしたラッパよね。。。
あぁ!『アルプスの少女ハイジ』のオープニングがホルン!!
あの音か!!
パァパァーパァパァパーッ、からのヨーデル。
確かに心が揺さぶられる。
アルプスの少女ハイジはアニメですが、ホルンの音からアルプスの山々の壮大さが伝わってきます。
そうだ、あの音楽で一瞬にして心がスイスに飛ぶんです。
そうか、秘密はホルンだっったか。
映画音楽も素晴らしい音楽のとき、一瞬でその世界に入り込むんですよね。
ホルンと言えば、漫画『のだめカンタービレ』で千秋が
「ホルン!もっと小さく!」
と指示してました(ホルン奏者は小さくと言われるとムカつく。大変だから)
そう考えると、千秋の意図した音楽は、奏者や観客の心に響きにくく、あの指揮がうまくいかなかったのも合点がいくような気がします。
最近、『のだめカンタービレ新装版』が出て「巻末おまけ漫画」もついてます。
全体を支配するムードからイメージをつかみ、映像と一緒に2分間眺めてみる
そうで、確かに「アメリカン・ビューティー」の音楽はこの映画の本質を表現していてすごいと思います。
映像を音で表現するって、すごい。
映画音楽の作曲は面白い仕事だと思います。
本作では作曲家にのしかかる、映画ヒットのプレッシャーについても紹介しています。
尋常じゃないスケジュールでハードワークなときもあり、決してラクな仕事ではない。
何度も聞きたくなる映画音楽でリピーターが絶えなかった「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の作曲家のトム・ホルケンボルフはコンピューターを駆使して作曲していたけれど、7カ月作曲に費やしたとのこと。
ハンス・ジマーはあれだけ名曲を生み出しているにもかかわらず、音楽を聴かせるときは不安で、恐怖で妄想にかられたり、死ぬほど悩むこともあるそう。
それでもこの仕事を愛していると言います。
映画作曲家はみんな熱い。
音楽の話に目がキラキラしてて、心底好きなことが伝わってきます。
作曲家の情熱に元気をもらえます。
映画音楽作曲家は成功すればとても金持ちにもなれるようで、
マルコ・ベルトラミのマリブにある音楽スタジオ、
ブライアン・タイラーのスポーツカー、
見るからにすごくリッチ。
ブライアン・タイラーは本人がアベンジャーズに出演しててもおかしくない容姿で、さぞかしモテるんだろうなと思ったり。
『Redeeming Love Theme Conducted by Brian Tyler feat. Gil Shaham』
ジョン・ウィリアムズは元ジャズピアニストですでに成功していたようですが、そこからさらに映画音楽作曲家になり大成功したり。
好きなことを仕事にして、充分な収入を得られてる彼らにアメリカン・ドリームを感じました。
音楽を楽しみたい人、音楽を作りたい人、クリエイティブなことをはじめたい人、などにさまざまな角度から楽しむことができるドキュメンタリー映画で、おすすめです。
すばらしき映画音楽たち 概要
監督スピルバーグが「E.T.」のフィルムを部屋の中で回している。
傍らにいる作曲家ジョン・ウィリアムズはそれを見ながら片手でピアノを弾いてみる。
「こんなイメージかい?」
そうして生まれたシンプルなメロディが、やがて世界中の誰もが知ることになる、オーケストラ演奏によるあの名曲「E.T.のテーマ」に生まれ変わっていく様子に鳥肌が立つ。
多くのヒット映画を題材にどのようなアイデアや手法で作曲をしているのか、その秘密を惜しげもなく見せてくれる。