シャーリーズセロンつながりで、Amazonから「★4以上でおすすめ」と勧められたので
映画『タリーと私の秘密の時間』を見ました。
監督は『キンダガートン・コップ』『JUNO/ジュノ』『マイレージ・マイライフ』のジェイソン・ライトマン。
映画『タリーと私の秘密の時間』あらすじ
3人目の子が臨月に入り、産休をとったマーロ(シャーリーズセロン)。
マーロの兄は彼女を思い、夜だけのベビーシッターを出産祝いにプレゼントすると言う。
他人に赤ん坊を預けることに抵抗のあったマーロだが、息子のジョナは知的障害の傾向があり手がかかるし、夫は出張が増えて頼れない。
育児に疲れた!ツライ!
とうとう限界がきて、夜のベビーシッターを頼むことに。
ベビーシッターのタリーは、見た目は今どきの女の子。
本当に仕事を任せられるか不安になったマーロだが、意外にも彼女の仕事っぷりは完璧だった。
しかし、これには秘密があるのだった。
映画『タリーと私の秘密の時間』感想レビュー
シャーリーズセロンは役作りのために3ヶ月半のあいだに体重を22㎏増やし、それを維持するのに真夜中にアラームをかけて、マカロニチーズを食べたりしたそう。
撮影後、体重を減らすのに1年半!
お肉を減らすのは難しい。
この映画の興味深いところ。
夫はベビーシッターがやってきても顔合わせの挨拶もせず、マーロから話を聞いて「そんな人に子守を任せるの?」とゲームを続ける。
マーロがベビーカーを押し、子供が「喉が渇いた」と言えば、用意していた水筒を渡してあげるが、夫は横を一緒に歩いて話をしている。
多くの夫婦が普段そうして子育てしているであろう風景を淡々と見せていて、映画見た子育て経験のあるお母さんは共感しまくっているそうです。
夫は子育てに参加しているつもりらしいし、妻を気遣う言葉もかけるけれど、どう見てもマーロはひとりで子育てしています。
けれども映画は夫に非難がましいことは言わない。
マーロが夫に言わないように。
監督は映画から”感じ取って欲しい何か”があるから、あえてこの表現なのだと思います。
多くの女性は働き盛りの夫を支え、同時に子育て家事をこなす。
それだけに「自分もきちんとやらなくては」という世間のプレッシャーと戦っているところがあります。
その苦悩は当事者でないとわからない。
本人の性格もありますし、本人さえ気がついてないこともあります。
そうして産後鬱になる人もいるし、解離を起こしてしまうこともあるのだなと感じました。
ラストシーンについて。
監督の映画「マイレージマイライフ」が好きな私がその傾向を察するに、”見当違いな手伝いをする夫”というブラックユーモア(皮肉)ではないでしょうか。
マーロが職場復帰したとき、果してどうなるか。
映画『タリーと私の秘密の時間』を見た男性が、マーロの夫と同じことをしてて反省したとコメントされているのを見かけました。
監督が伝えたかったのはそういうことなのかもしれません。
今年は、ベビーカーを押す男性がひとりで歩いているのを何人も見ました。
すき家でふたりの子供に夕飯を食べさせて会計しているYシャツ姿の父親も見かけました。
夕方のスーパーで娘とふたりで買い物するスーツ姿の父親も見かけました。
今年は母親抜きで子供の世話をする父親が目につきました。
平日も子育てを手伝う男性が増えたように見えます。
マーロの兄は事業で成功し裕福な暮らしをしていて、妻は日本人です。
どうして日本人妻なのか。
「Heaven is an American salary, a Chinese cook, an English house, and a Japanese wife.」という有名な言葉(ジョーク)があります。
理想の妻は日本人、と言われていて、つまりマーロの兄は”絵に描いたような理想的な暮らし”をしていることを、あの短い場面で表現していると思われます。
あえてこのジョークを用いてると思われるあたりも皮肉じみてる。
監督のジェイソン・ライトマンは、”わかる人にはわかる”というネタをサラッといれてくる傾向があります。
映画の表現をそのまま受け取るのではなく、その背景に焦点をあてると深い映画であることが感じられると思います。