2021年3月8日に公開された 映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が8月13日からAmazonPrimeに登場しました。
本作は2007年公開の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』から続いた新劇場版シリーズの最終作。
25年間続いたエヴァンゲリオンシリーズの完結作でもあります。
前作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』から8年以上を経て公開です。
2017年から4年間の庵野秀明監督を取材したドキュメンタリーがあります。
プロフェッショナル仕事の流儀 庵野秀明スペシャルの100分拡大版になっています!
知らなかった!これは見なきゃ。
監督の妻でもある漫画家・安野モヨコの漫画で、庵野秀明監督の制作の流れを知るヒントになります。
関連リンク 安野モヨコ描き下ろし、庵野秀明とカラー10年の歩みを描いた「おおきなカブ(株)」公開 | MOYOCO ANNO
映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(感想レビュー)
漫画「おおきなカブ」を読んでわかるように、庵野秀明監督はエヴァンゲリオンを制作しては体調を崩しています。
庵野秀明監督は重い鬱になったとインタビューで答えたことがありましたし、エヴァンゲリオンを制作しはじめるとどうしても鬱になってしまうというようなことをおっしゃってました。
エヴァンゲリオンを制作するのにそれだけ自分の内面と向きあわなくてはならないのでしょう。
庵野秀明監督の精神世界をちょっと覗いてる感じ。
映画に監督の出身地である山口県宇部市の風景が見られることからも、庵野秀明監督の強い想いがエヴァンゲリオンに込められていることが伺えます。
主人公・碇シンジは14歳。
中2くらい、
その時期ってすごく多感で特別な感覚を持ち合わせていて。
それが反抗期となって現れることもあるし、成長するうえで必要な過程が何かあるように思います。
それを上手く処理しきれずに、大人になっても抱えていることがあると思うんです。
庵野秀明監督は、ずっとそんな感じだったのではないかな。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』でエヴァンゲリオンをはじめて見た若者たちが、25年間前に若者だった人達と同じように興奮し、エヴァンゲリオンにのめり込んでいる。
それは名著『ライ麦畑でつかまえて』がずっと若者を魅了し続けているようなものなのかもしれません。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を見たら、自分で言葉にできないモヤモヤとした気持ちを見つけられるかも。
すごくジプリっぽい!そんな場面がありました。
庵野秀明監督はジプリ出身で、前作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の後に、宮崎駿監督から映画『風立ちぬ』(2013年)の主人公・堀越二郎の声優をオファーされています。
『風立ちぬ』のような昭和のなつかしい光景が『シン・エヴァンゲリオン劇場版』にも広がっています。
『風立ちぬ』も『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の制作に大きく影響しているのではないでしょうか。
でもまぁ、もともと昭和初期が好きなんだと思います。
鎌倉の昭和30年代の古民家を夫婦の新居に選んだくらいですから。
詳しく知りたい方は、鎌倉の古民家を買った話も収録されている、庵野秀明監督と安野モヨコの夫婦生活を描いたコミック漫画『監督不行届』があります。
かなり前のコミック漫画ですが、映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が公開されると再び注目され重版となりました。
コミック漫画『監督不行届』を読んだ読者が、妻・安野モヨコはマリのモデルではないかという感想が見られました。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』でマリは「どこにいても必ず迎えにいくから」
シンジ君を必ず救うと強く心に決めています。
マリに安野モヨコが重なるのもわかります。
マリが「にゃー」と猫らしい語尾を使用するのも、猫好きの安野モヨコを彷彿とさせます。
監督不行届に続き、連載されているのが還暦不行届。
第五回で安野モヨコが庵野秀明監督のエピソードを語っています。
冒頭部分だけでも読んで頂ければ、庵野秀明監督の生活がどんなものか垣間見れると思います。
安野モヨコは理解不能で難解な庵野秀明監督を受けとめ、よき理解者だと感じます。
長年にわたり一緒に生活している安野モヨコのことを庵野秀明監督は、絶対にシンジ君を見捨てない存在・マリとして描いたのではないでしょうか。
そう考えると、冒頭のマリの活躍は安野モヨコへのラブレターだと感じます。
参照リンク
庵野秀明監督はウルトラマンをはじめとるする特撮が大好きです。
2016年に映画『シン・ゴジラ』を制作しています。
映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』をつくる、つくる、と言っておきながら、つくらないでなぜシン・ゴジラつくってるんだ!
そんな批判をしたエヴァファンもいたんですが、安野モヨコ書き下ろし漫画「おおきなカブ」のラストで(少しだけ「ホッ」としたようにみえました)とあるように、庵野秀明監督はシン・ゴジラを完成させて自分を取り戻したのではないでしょうか。
風立ちぬ ~ シン・ゴジラまで『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の前半のシンジ君みたいな状態で苦しかったと思われます。
「好きなだけ頼ってくれ。友達だろ?俺は碇が生きていてくれてうれしいよ」
相田ケンスケの言葉は、もしかしたら庵野秀明監督が誰かに言われたことがあるかもしれません。
弱ったシンジを温かく迎えるかつての同級生の鈴原トウジや、委員長。
優しくしてもらっているとわかっていても精神的に弱っているときは、そうした優しさが届かなかったり、応えられなかったりするものです、
でも耳には入っている。
庵野秀明監督も苦しんでいるあいだ、仲間が温かく見守っていたのは感じていたと思いますが、何度も自殺を考えたと話されていました。
思い留まらせたのは、周囲の想いが監督に届いていたからかも。
シンジ君を見てそう感じました。
還暦不行届だったか、どこで読んだか。
庵野秀明監督とお父様はとても仲が良いという関係ではなかったようで、お父様がお歳を召されてお亡くなりになるまでの間で関係を修復されたようでした。
その後に映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が完成したと思います。
エヴァンゲリオンシリーズの完結が長引いたわけは、理由はさまざまあるでしょうが根本は庵野秀明監督自身がお父様と折り合いがついていなかったからではないでしょうか。
つまり、シンジ君と碇ゲンドウがどうなるか、実体験をもとに制作する必要があったのでは。
サブタイトルの「さようなら全てのエヴァンゲリオン」に込められた想いは、お父様のことだったり、庵野秀明監督のこれまでのしがらみからの卒業を意味するように感じました。
すこーしだけ同じニオイがしたような気がしたのは映画『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』でした。
どこが、と聞かれると説明が難しいが、女の子ヴァージョンとでも言おうか。
随分後で知ったんですが監督は押井守。