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映画『グリーンブック』(感想レビュー)

映画『グリーンブック』を見ました。

惹かれるポスターなんですが、白人の運転手に、後部座席に座る黒人はどう見ても人種差別の映画だなと感じていて、見るのに気合が要りそうで先延ばしにしていました。

そしたらアーティスト・奈良美智氏が泣いてしまったとかそんな感想をアップしてて、想像しているような人種差別の映画ではないのかもしれないと思い見ることにしました。

映画ジャンルは”伝記コメディ”となっています。つまり実話。

 

映画『グリーンブック』あらすじ

 ニューヨーク市のナイトクラブで用心棒をしていたイタリア系アメリカ人のトニー・ヴァレロンガは新しい仕事を探している矢先に、アメリカ中西部を回る8週間のコンサートツアーの運転手を探しているアフリカ系アメリカ人のクラシック系ピアニスト、ドン・シャーリーとの面接を紹介される。 

1962年のコンサートツアーにインスパイアされた作品です。

 

『グリーンブック』とは

グリーンブックとは黒人が宿泊できるホテルなどを記した『黒人ドライバーのためのガイドブック』のことです。

当時は白人の経営するガソリンスタンドで給油を拒否されたり、同様に自動車整備工場で整備や修理を断られたり、旅宿では宿泊や食事の提供を拒まれたりといったことが公然と行われることがあったのです。 

参照 黒人ドライバーのためのグリーン・ブック - Wikipedia

 

 

映画『グリーンブック』感想レビュー

 

巡回コンサートがはじまって間もなく、同行する演奏者がトニーに言う。

”ドン・シャーリーは北部ならチヤホヤされ3倍の金を稼げた。

だが自らかれは(差別のある)中西部に来た。”

「なぜ?」トニーにはその答えがわからない。

そんなしんどい思いをしてツアーを続ける意味に何があるのだろう。

 

トニーはイタリア系アメリカ人で、多少の差別には慣れているし、イタリア系のコミュニティで暮らしている。

トニーにとっての差別とは「仕方のないこと」という認識。

シャーリーに理不尽なことが起きたとき、

「ムクれるな土地のルールだ」

トニーは言います。

  

この映画の良いところは、言葉では伝えきれないコトがあるから映画にしている必然性を感じること。

トニーとシャーリーは雇用関係で結ばれているけれど、巡回ツアーを通じて積み重ねられていく関係も美しく、そのように互いが歩み寄ることができればいいなと思う世界がそこにあります。

 

ところでトニーは不器用で可愛らしい男です。

見てて飽きない。

巡回ツアー中、手紙を書いてね、と奥さんに頼まれたトニーは(面倒だし、嫌だな)と思いつつ、ちゃんと手紙を書きます。もう可愛い。

その手紙は、

「チップスを食べながら書いているのでのどが渇く」

小学生の日記のよう。

本当に無事を知らせるだけの手紙。

奥さん宛の手紙ってそうじゃないじゃん!

シャーリーは見かねて、トニーの手紙の文面を代わりに考えてあげます。

トニーがそれをせっせと書いていくのが可愛い。

「すげぇ、ロマンチック!」と喜んじゃうのも可愛い。

 

極めつけは、ケンタッキー州に着いたときのトニー。

「ケンタッキーでフライドチキンだ!」

わかる!トニーの気持ちがわかる!

映画『グリーンブック』を見るときはケンタッキーの用意がおすすめです。