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50代夫婦の危機!?50代 夫婦のあり方を探る。映画『恋妻家宮本』(感想レビュー)【おすすめ映画】主演 阿部寛

 

主演・阿部寛。面白いに違いない。

AmazonPrimeで映画『恋妻家宮本』を見ました。

恋妻家宮本

恋妻家宮本

  • 発売日: 2017/07/10
  • メディア: Prime Video
 

出演者は、天海祐希菅野美穂、佐藤二郎、相武紗季早見あかり富司純子。豪華。

 

映画『恋妻家宮本』あらすじ

 

中学教師の宮本陽平(阿部寛)と妻・美代子(天海祐希)は50代の夫婦。

息子が独り立ちし夫婦だけの生活がはじまった。

そんなある日、陽平は美代子の記入済の離婚届を見つけてしまう。

えっ、妻は離婚したいと思ってる...?  

陽平はなかなか真相を聞くことができずモヤモヤした日々を送る。

 

 

映画『恋妻家宮本』(感想レビュー)

 

自分は良き夫で中学教師と思っていたのに、離婚届の発見でその自信がゆらぎ、衰弱していく陽平。

心が崩れていくさまもどこかコミカルで、真面目なテーマだけど楽しく見れます。

離婚届の発見をきっかけに、陽平は(もしかして自分が思っているより自分は完ぺきではなく、自分には何かが足りないのか?)と考え始めます。

ここで(俺は何も悪くないぞ)とならなかった陽平はえらい。

悪い、正しいという話ではないんですよね。

相手にフィットしているかどうかだと思うんです。

 

父親は海外赴任中、母親は不倫中の事故で入院中という生徒。

彼は事故後、母に会う勇気が無い、というか、どうしたらいいのかわからない。

彼の姿は、陽平が妻とどう接して良いのかわからない姿とかぶる。

彼を導いていくうちに、陽平自身も先生として、夫として変わっていくサマが見事に描かれていると思います。

 

阿部寛氏のドラマ『結婚できない男』が好きなんですが、偏屈な男、だけど根は優しい主人公・桑野信介が面白い。

宮本陽平はその桑野信介に少し似た、不器用な態度や発言をします。

妻がお酒を飲もうと誘えば、サッとおつまみを作る陽平に、料理が得意な桑野信介の姿が重なる。

陽平が料理の腕を披露したくて学校に料理クラブを作るのも面白い。

 

そんな陽平が妻になんと言うのか。

息子の嫁がどうしたら良いかズバリ答えてくれます。

が、果してできるのか?

陽平の行く末を見守ってしまう。

映画というより、スペシャルドラマという雰囲気で、フフッと笑えて、楽しく気軽に見られる映画でした。

おすすめです。

   

妻・美代子(天海祐希)は、子育てに注力していたぶん、息子が家を出た後の虚無感が大きく、夫婦の感じ方がそれぞれ違うのも興味深いです。

美代子がソファでうたた寝をする場面が何度か出てきます。

息子の世話をしなくて良くなったし、陽平も料理が作れるようになって、家事はラクになっているはず。

生活環境が変わり体に不調が出ているようです。

ある程度、時間が解決してくれると思うけど、ホルモンバランスを整えるサプリを飲むとかそうしたものが本当は必要なのかもしれませんが、美代子の取った行動は「福島へボランティア」でした。

 

誰かの世話をすることが自分への癒しにも繋がるものなのかもしれない。

そう美代子は閃いたのでしょうか。

阪神大震災が起きたとき、近代の日本で起きた大地震に前例が全く無く人々は戸惑ったのだけれど、被災者の多くの女性は自ら炊き出しのボランティアを行っていました。

本来なら炊き出しをされる側の人々が、他所からボランティアに来た人に豚汁やみそ汁を振る舞ったりして、いま、自分にできる何かをすることで心のバランスを保っているように見えました。

映画『こんな夜更けにバナナかよ』の原作者が取材先のボランティアさんから聞いた言葉「一人の不幸な人間は、もう一人の不幸な人間を見つけて幸せになる」からも伺えるように、ボランティアにより自分が救われることもあるのでしょう。

「結局、自分の生きる意味や役割を与えてくれるのは、深く関わった他者でしかない」

美代子も何かを変えたかったことが伺えます。

けれども、その前にもっと夫と向き合えばよかったのでは。

美代子も夫との向き合い方がわからなかったのかも。

(50代、 夫婦)で検索すると、陽平や美代子のように、子供が巣立った後の夫婦関係に悩んでいる人がたくさんいることがわかりました。

 

生徒の厳しい祖母役に、富司純子氏。

(えー!)コメディ映画に出るんだ。

大女優ですが、寺島しのぶ尾上菊之助の母親でもあります。 

着物のイメージが強い女優さんだけど、劇中も着物で期待を裏切らない。

女渡世人 おたの申します

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  • 発売日: 2016/12/19
  • メディア: Prime Video
 

門の前に立っているだけなのに、恐ろしい。すごい迫力!

陽平はこの手ごわい祖母にどう対応するのか。

陽平の言葉に祖母はハッとします。

陽平は国語の先生だけあって、そうした言葉を絞り出せたのではないのかな。

 

ラストシーンが好きでした。

突然はじまる懐かしい感じの終わり方。

昔はよくああいった終わり方があった気がします。

映画『時をかける少女』がそうでした。

監督はテレビドラマでヒット作を数多く輩出している遊川和彦氏。

広島県出身で、あ、大林監督をリスペクトしての演出だったのかも。