羽田圭介、クルマを買う。(感想レビュー)
作家・中村文則さんが読後感想で、
悩むんだけど車をなかなか買わない、これでもかというくらいまだ買わない!
みたいなことを笑って話してらしたので『羽田圭介、クルマを買う。』を読んでみました。
雑誌「週刊プレーボーイ」で連載していたもの。
羽田圭介さんは明治大学卒業後、新卒採用で1年半、茨城県の企業に就職。
高校在学中に作家デビューしていたものの、貧乏作家時代(本書にそう書いてあります)を経験したようで、作家で食べられない間は企業勤めてをして生活をやりくりされていたのでしょう。
そんな羽田圭介さんが三十歳手前に、又吉さんと芥川賞をW受賞し、収入がそれなりになったところで車が欲しくなる、という流れ。
2020年4月には『おぎやはぎの愛車遍歴』 に出演され、車好きなのが伺えます。
あー、はいはい。
人気がありますし、いい車だと思うのでわかります。
試乗した感想に続くのかと思えば、
どのディーラーに行くのも、わりと面倒くさいな、と思った。
わかるー!
車をまだ持ってない人に、ディーラーは駅から遠くて不便!
本書はただ試乗した車の感想を羅列するのではなく、車を購入するまでの細かいプロセスが綴られているのが面白い。
そうして、羽田圭介さんの車を試乗する旅がはじまります。
ネット検索で車の在庫があると知って、その場ですぐに電話をし、片道2時間かけて実車を見に行くこともあり、車を購入したことのある人なら、同じことやったことある!と、初々しいあの頃の気持ちを思い出すこともあるでしょう。
雑誌「週刊プレーボーイ」の連載とあって、車が好きでなくても、読み物として面白い内容になっています。
「小説家たちとクルマ」は小説家・羽田圭介さんならではエピソードだと思うけれど、興味深かったのはボルボV40 D4の試乗エピソード。
このときのボルボの営業担当者は只者では無かった。
ボルボ・カー・ジャパンで、実質1位の営業マンだったのです。
私がこれまで好感を持った営業マンは、即座に質問に答えられることです。
質問の答えがわからないときは「お調べして後で連絡しましょうか」と言ってくれたり、その場で資料を持ってきて調べてくれたり、丁寧、親切、誠意。
「あっ、この人から買いたいな」と前のめりで購入を考えます。
それから、営業マンのフットワークの軽さや相性も大事ですね。
その後、修理や車検でお世話になりますから。
あるとき、休日にもかかわらず営業マンが書類を届けに来てくれたことがあります。
彼の私服センスに目を剥きましたが、申し訳ないくらい仕事がはやくて助かりました。
そんな彼ですから当然、営業成績が良く、その後、店長に昇進しました。
『羽田圭介、クルマを買う。』228ページでようやく車を決めます。
試乗した車は、なんと60台。
しかし、納車するまでまだかかる!
そう!そう!そう!
車を決めてからも、まだ問題はあるわけです。
実家住まいや持ち家なら、もっとスムーズなんでしょうが。
終いには、羽田さんのお母様も登場し、なかなか納車に至らない様子も面白いです。
結局、何を買ったのか?車種を知りたい方は、羽田圭介さん公式Youtube動画『鈴木福くんとドライブした結果』で車をご覧いただけます。