第2次世界大戦の激戦地・沖縄の前田高地の実体験を描いた『ハクソー リッジ』 を見ました。
予告で「武器も持たず戦場で戦った」と聞いて、どういうことかよくわからないなぁと思ってました。
主人公であり、実在の人物・デズモンド・ドスは良心的兵役拒否者で、武器を手にしない衛生兵として活躍するために軍隊に入隊します。
だから銃の訓練を拒否してやりません。(通常は衛生兵希望でも銃の訓練を受ける)
はっきり言って異色な存在。
軍でもかなり浮いてます。
運動能力は高いのですが、武器を手にしないため、上層部は除隊させようとあれこれ嫌がらせをしてきます。
なんでそこまでして衛生兵になりたいの?
見ているこちらも不思議に思うほどにデズモンド・ドスは頑なで信念を曲げません。
そんなデズモンド・ドスがハクソーリッジの戦いで衛生兵として活躍するまでが描かれます。
デズモンド・ドスを演じたのはアンドリュー・ガーフィールド。
映画『沈黙』でも主人公を演じたのですが、どちらも2016年制作の映画で、信仰深く同じような葛藤を持つ主人公を演じてます。
いいの!?めちゃくちゃ役がかぶってると思うんだけど!
アンドリュー・ガーフィールドは華奢に見えて、脱いだらマッチョな体でびっくり。
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ハクソーリッジ(沖縄の前田高地)が舞台で、当然戦う相手は日本人。
複雑な気分にはなりましたが、臨場感あふれる戦場の描き方がすごい!
弾が当たって、あっという間に兵士が死んでいく場面は、あまりにもあっけなくて戦場の恐ろしさが伝わってきました。
バンバン人が死んでいきます。
ハクソーリッジで生き残るの無理じゃね?
そう感じる中、いやいやいや!そんな馬鹿な!デズモンド・ドスが驚きの活躍ぶりを見せます。
恐ろしい体力と強運の持ち主です。
ここまでくるとデズモンド・ドスは神様に守られてるとしか言いようがない!
それが実体験と言うのだから、すごい。
前田高地(ハクソーリッジ)は沖縄本島の那覇市の北側に隣接する浦添市にあります。
浦添市のホームページに映画「ハクソーリッジ」と比較して、現在の前田高地を紹介しているのですが、すごい街中!
沖縄の人達はこんな凄惨な戦争を経験したのだな。
デズモンド・ドスの父親トム役は、どこかで見たことある人だなぁと思ったら、『マトリック』『ロードオブザリング』のヒューゴ・ウィーヴィング!
顔が印象的な俳優さんです。
トムは第一次世界大戦を経験してから性格が変わってしまい、酒におぼれる日々を送っています。
デズモンド・ドスや家族の生活にも大きな影響を与えています。
戦争を経験せずに済むなら、それは幸せなことだと感じます。
驚いたのが、軍曹を演じたヴィンス・ヴォーン。
なぜハクソーリッジにいるの!?あなたコメディ畑の人じゃなかった?
普段、戦争映画を見ないような人達を呼び込むための人気俳優の配役なのかな。
なかなか思い切った配役だと感じました。
シリアスな映画なんですが、ヴィンス・ボーンが登場すると、フワッとコメディが入って重くならなくて好きでした。
軍曹って怒鳴って、怒鳴って、怒鳴って、というイメージだけど、ヴィンス・ボーンは表情豊かで、中間職の軍曹役をコミカル且つハートフルに演じてたと思います。
しかし、映画全体のバランスを考えて、ザ・アカデミー賞な映画にするんだったらシリアスな演技をする俳優のほうが締まったと思います。
デズモンド・ドスの行動を見て、周囲がやっと彼を理解できたような気がしました。
口頭で説明しても、それがどういうことか伝わらないことってありますよね。
実際に見たり体験してはじめて「そういうことか!」
でもデズモンド・ドスも、どういうことを自分が成し得たいのか模索してたんです。
衛生兵になって人助けをしたいけど、それが具体的にどういうことか、というビジョンまではなく、戦場でただただ必死になってやったという感じ。
人から理解されなくても、自分に確固たる信念があるなら貫き通したらいい。
そんな勇気をもらえる映画です。