「ジョジョの奇妙な冒険」で有名な漫画家がその手の内を披露する「荒木飛呂彦の漫画術 」を読んでみました。
本を見たときは「あー、想像してたのとちょっと形態が違うなぁ」と思いました。
文字ばかりなのです。
絵のテクニックよりも、それよりも先に大事なことが書かれています。
冒頭に「王道漫画の描き方」とあるように、基本的な漫画の描き方を説明していますが、荒木飛呂彦の漫画を通じながら学べるので解りやすいです。
荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)
【目次】
はじめに
第一章 導入の描き方
第二章 押さえておきたい漫画の「基本四大構造」
第三章 キャラクターの作り方
第四章 ストーリーの作り方
第五章 絵がすべてを表現する
第六章 漫画の「世界観」とは何か
第七章 全ての要素は「テーマ」につながる
実践編その1 漫画が出来るまで
実践編その2 短編の描き方
おわりに
また荒木飛呂彦自身のエピソードも所々語られているので、ファンは「こんな風に考えてたんだ」と楽しんで読むことができると思います。
ネームの描き方では実際の荒木飛呂彦のネームが掲載されています。
私が興味深かったのは「ストーリーは最初から最後まできっちり作ってから描きはじめるのですか?」という質問に答えているところです。
いつもどうやって主人公を危機的な状況に落として、その危機からどう切り抜けるのか、毎回、そのストーリーは時代を反映していて(もしくは時代を先取りしていて)、サッと取り込めてしまうところがすごいな、と思っていたのです。
その具体例を岸部露伴は動かないの「密漁海岸」で説明しています。
サラッとどうやって考えたか書いてありました。
アイディアのもとはとっても些細なこと!
常にネタを探しているから、ヒョイと拾いあげることができるんだなぁ。
情報と情報を上手くつなげることで面白いストーリーを生み出すことができるわけですが、説明文を読むと簡単そうなんですが、そこはやはり三十年も漫画を描いているからこそサラッとできるのだと思います。
本書を読んで、注意点をひとつひとつモノにしていけば、素晴らしい漫画が描けるのではないでしょうか。
この本は1000円出しておつりが出る価格で、非常に良心的で、若年層も買えるように配慮されているのだと感じました。
将来、「荒木飛呂彦の漫画術 」を読んで漫画を描いてみたんです、という漫画家が出てくるのでしょうね。
石ノ森章太郎のマンガ家入門 (秋田文庫)
この本はマンガ家を志す人たちの入門書でもあるが、じつは「石ノ森章太郎というマンガ家を知るための入門書」でもあると言えよう。