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見た目や人から聞いた話で、その人のなにがわかるのだろう「その人ふくわらい」西加奈子


生い立ちって大人になってからも影響するもので、

子供の頃に食べ慣れたものが好きだったり、(反対に、食べ過ぎて嫌いになった人もいますよね)

遊んだ場所とか、遊び相手とか、お父さんとか、お母さんとか、おじいちゃん、おばあちゃん。

いろんなことが積み重なって自分という人間が出来上がっていく。

主人公の定(サダ)も、生い立ちが大きく影響して大人になった人で、ちょっと変わり者だけど、その本質を知ると純朴で好感が持てる人物だった。

そして他人から扱いづらいと言われてる作家を定が担当すると、面倒な人達ではあるけれど、かわいらしい面も見えてくる。

定の目を通すと、いかに人がその外見や、噂話で決めつけをしているかを思い知る。


ふくわらい
マルキ・ド・サドをもじって名づけられた、書籍編集者の鳴木戸定。
彼女は幼い頃、紀行作家の父に連れられていった旅先で、誰もが目を覆うような特異な体験をした。
その時から、定は、世間と自分を隔てる壁を強く意識するようになる。
日常を機械的に送る定だったが、ある日、心の奥底にしまいこんでいた、自分でも忘れていたはずの思いに気づいてしまう。
その瞬間、彼女の心の壁は崩れ去り、熱い思いが止めどなく溢れ出すのだった――。

第148回直木賞候補、第10回本屋大賞5位、第1回河合隼雄物語賞 受賞作品