益田ミリさんの新刊で『きみの隣で』が文庫本になっていたので読んでみました。
『週末、森で』の続編です。
郊外に移住した早川さんを中心に、仲良し女性3人それぞれの生活が描かれます。
が、早川さんが結婚して子供がいるところからはじまってびっくり!
外見は平凡でも、内面がちょっと個性的な早川さん。
どうやって男性に出会って、どんな人と結婚したのか興味津々でした。
早川さんには独特のこだわりや考えがあって、ちょっと変わった人だと感じます。
職業が翻訳家ということもあって、単純に言葉から言葉へ変換するというお仕事ではなく、物事の全体を知る必要があり、そんな早川さんの言葉に引っかかりを感じる人は多いかもしれないなと思いました。
実際、レビューで早川さんにマイナスなコメントをされている方が見られます。
『すーちゃん』とはキャラが異なるので、すーちゃんファンには共感が難しいのかもしれません。
また、早川さんが結婚して、勝ち組みたいになってしまったところが、独身女性の多い益田ミリ・ファンの心にグサッと刺さるところがあるかも。
早川さんに興味があったのは、早川さんに「アルプスの少女ハイジ」のおんじのようなものを感じたから。
おんじは、ちょっと変わり者で人里離れたところに住んでいます。
早川さんはおんじほどの事情はありませんが、マイノリティな人が落ち着くのはやっぱり人里離れたところで、かといって、離れすぎると生活ができないから、つかず離れずなところに住むのだと思いました。
で、おんじは村人から見ると、変わり者で気難しくて、関わり合いを持ちたくないタイプなんですが、ハイジの目を通してみたおんじは素敵なおじいちゃんです。
藁のお布団にハイジは歓喜します。
子供の頃の私もうらやましく思ったのですが、大人になって考えてみると、家畜と変わらない藁のベッドってクララのような都会人だったら泣くかも、と感じました。
早川さんの暮らしを「いいな」と思う人もいれば、「無いな」と思う人がいるのもわかる気がします。
益田ミリさんも多分それをわかってて、せっちゃんが、早川さんの受け売りで男性に同様のことを言ってみたりするのですが、相手に引かれてしまう場面を描いているのかなと思いました。
時と場所、相手を選ばないと、早川さんの言葉を「いいな」とは思えないことがよく表現されてると思います。
旦那さんが早川さんに出会ったとき、早川さんのことを「面白い人だな」と感じます。
「変な人だな」と思われるのと、「面白い人だな」と思われるのは雲泥の差があります。
そのあたりの微妙なところを益田ミリさんは絶妙に描いていると感じます。
早川さんはグルメで、お取り寄せを利用しています。
早川家を訪れる友人たちも手土産に美味しいものを持ってきてくれます。
知らないグルメが出てくると、ちょっと調べてみたりして、それもまた楽しいです。
いつか食べてみたいな。
早川さんが特別な時に入れる紅茶は「マリアージュ」
この缶に見覚えのある人は多いのでは。
結婚プレゼントに贈られることも多いので、早川さんもプレゼントに頂いたのかも。
子供にも特別なときだからとホットミルクに「バンホーテン」のココア
マルセイバターサンド。間違いなく美味しいやつ。
「ノワ・ドゥ・ブール」のフィナンシェ
揚立屋のさつまあげ
「とらや」夜の梅
「ラ・テール」の大地のシュー 、「ヴィロン」サンドイッチなどが出てきました。