映画「殿、利息でござる!」で松田龍平氏の演技が良かったので、他の映画も見てみようと探したら「ぼくのおじさん」を発見!
なにこれ、松田龍平氏がおじさんを演じてる!
山下敦弘監督は松田龍平氏に演じてもらうため、おじさんに熟するのを待って撮影したという、なんとも気合の入った映画です。
でも物語はゆるゆるで、ダラッと何か面白い映画を見たいときにおすすめできる映画です。
物語は、ぼくこと雪男(ゆきお)が小学校の課題で、家に居候しているおじさんについて書くところからはじまります。
ぼくのおじさんは、宿題も見てくれない、スポーツもできない、お小遣いなんか1円だってくれやしない。
自分のことを哲学者だと言い、へ理屈ばかり言うのだ。
このおじさん、とにかくクセが強い!
おじさんのセリフの言い回りが独特で「雪男」と名前を呼ぶだけなのに、妙に面白くて印象に残りました。
スポンサーリンク
北杜夫も、ぼくのおじさんと同様に兄の家に居候した経験があります。
その経験をもとに書かれています。
ぼくのおじさんは児童文学ですが、大人向けの内容で書かれた小説「高みの見物」にもだらしのないおじさんが出てくるそうで、そちらも今度読んでみようかな。
「ぼくのおじさん」は昭和56年の作品で、映画は現代風にアレンジされています。
映画が面白かったので、原作も読んでみることにしました。
でも電子書籍が無い。
どうしようかと思ったんですが、本の表紙の和田誠氏の絵が素敵で、本を手に入れました。
映画のポスターは本の表紙と一緒!
松田龍平氏の着ているアロハシャツは、よく見るとパイナップル!
可愛いくって、葉っぱが赤と青なのもおしゃれ。
ハワイ島コナの「コナベイハワイ」のアロハシャツなのだそうです。
描かれている「おじさん」は、ダメ人間だけど憎めないおじさん、と聞いて本当かなぁ?と思いましたが、本当でした!
自分が読みたいがために漫画を雪男に買わせようとする場面があるのですが、騙すとか、そういうズルいことをしないのがおじさんが憎めないところなのかも。
漫画を買うために、雪男を真剣に説得するのがセコい!
だけどそこが面白い。
透けて見えるおじさんのセコさに、雪男と一緒に呆れつつも、ついつい次はおじさんは何をするのかな?と興味が沸いてきます。
おじさんと雪男君の関係がとても自然で、本当におじさんと甥のよう。
ふたりのやりとりは、見ていてほのぼのしました。
妹もおませな感じがとっても出ていて、「きゃっ」と言うセリフは、彼女の性格を引き立てているように感じました。
おじさんの「ワオッ」とも似てて、どこか血の繋がりも感じられました。
おじさんの兄を宮藤 官九郎、妻を寺島しのぶが演じています。
寺島しのぶさんの妻っぷりが絶妙で、おじさんがちょっと話しかけにくい雰囲気を出していたり、イライラしているのが見えたり、でも見ている側としてはどこかそれがコミカルで笑えてくるんですよね。
宮藤官九郎氏は「威厳のあるお父さん」を監督から注文されたそうですが「威厳を保とうとしているお父さん」という感じでした。
でも、そんなお父さんだからおじさんのような弟を家に置いてやっているのだろうとも思えてよかったです。
あまりに威厳のありすぎるお父さんだと、居候させないような気がしますから。
真木よう子さん。
日系四世のエリーさんを好演していたと思うのですが、なんだかキャラがぼやっとしていて、どうしたことか?と思っていたら、原作には無いキャラだと知って腑に落ちました。
でも、おじさんがエリーさんに会いたくてハワイに行きたいという動機は、ぐっと説得力が増してよかったです。
そして、こちらも原作には無いキャラクター、老舗和菓子屋の青木氏。
大泉洋氏も所属するチームナックスのメンバー、戸次重幸氏が演じています。
こちらもキャラがぼやっとしてて、青木氏の人柄がいまいちよくわからず。
老舗和菓子屋の若旦那が、レストラン席で携帯で話すなんてマナーの悪いことをするのだろうか?とか、どうもチグハグな印象がありました。
雪男の担任教師のみのり先生も原作には無いキャラクターです。
戸田恵梨香が演じています。
彼女が必要以上にグイグイ出てきてる印象があり不自然だったのですが、あぁ、なるほど、と最後には納得。
原作よりも希望が持てるエンドで、とても良い演出でした。