【おすすめ映画】トム・ハンクス主演・サウジアラビア版ロスト・イン・トランスレーション!?「王様のためのホログラム」(感想レビュー)

【おすすめ映画】トム・ハンクス主演・サウジアラビアロスト・イン・トランスレーション!?「王様のためのホログラム」(感想レビュー)

 トム・ハンクス主演の「王様のためのホログラム」を見ました。

 ピューリッツァー賞、全米図書賞ノミネート経験を持つベストセラー作家デイヴ・エガーズの小説を映画化したものです。

今、Amazonのプライム会員で無料で見られるようになっていたので見たんですけど、月額400円からプライム会員になれるので、単月だけ加入して映画をまとめて見るとかなりお得でおすすめです。

王様のためのホログラム

王様のためのホログラム

 

主人公アラン(トム・ハンクス)がサウジアラビアの国王に最先端の映像装置(3Dホログラム)の会議システムを売りに行く物語です。

冒頭の飛行機シーンから異文化が炸裂!

サウジアラビアで感じる違和感や異文化を、ミステリアスな雰囲気で描いているのがとても巧みで、見ている側にそれが良いとか悪いとか押し付けないところが良いと思いました。

なので、何が言いたいのか理解しにくいかと思いますが、サウジアラビア版「ロスト・イン・トランスレーション」を想像して頂ければ、イメージがわかりやすいかと。

かつて、ユアン・マクレガー主演の「砂漠でサーモン・フィッシング」という、大富豪の夢を実現するという映画がありましたが、苦労する点では共通しています。

 

「王様のためのホログラム」から見えるアメリ

 

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アランはかつて、大手自転車メーカーの取締役でしたが、業績悪化の責任を問われ解任されて、このサウジアラビアの仕事についています。

その採用理由が「国王の甥と知り合いだから」

つまり、その企業はそんなアランに頼らなくてはならないくらいサウジアラビアにコネも何もないということの象徴なのだと思います。

もちろんアランのかつて取締役だった手腕も買っているのでしょうが、大事な取引の人選のポイントに驚かされます。

そしてアランの上司はアメリカから電話で仕事をちゃんとやれ!と激を飛ばすのみ。

これは、アメリカ企業のビジネスの在り方を皮肉っているのではないかなと感じました。

 

この映画は2016年に制作されたのですが、時代設定は2010年です。

この頃、アメリカで中国の勢いがすごかった記憶があります。

中国はアメリカで円滑にビジネスをするために、学校などに多額の寄付をしたり、ご機嫌を取りながらビジネスを進めている、、、というようなドキュメンタリーを見たことがありました。

当時の中国をアランの視点でやんわり表現していると思います。

多くのアメリカ人サラリーマンが、中国企業の進出によりアランのような境遇に陥ったのではないでしょうか。

日本人がこの映画に共感できなかったり、意味がわからないと思うのも無理はないと思いますし、全体的にカットされた場面がある印象を受けるので、ちょっとチグハグに感じるのも、この映画をより一層理解しにくいものにしていると感じます。

小説を読めば情報が補えるかも。

 

やっぱりトム・ハンクス

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トム・ハンクスがこの小説の映画化を切望しただけあって、演出に自身が積極的に関わっているように見えます。

アラビアのロレンス知らない?」という件には「出た出たトム・ハンクス節!」という感じ。

アラビアのロレンス」は古典映画で、トム・ハンクスの出演する映画では度々、古典映画が引用されるのです。

そしてこの映画の内容を知っている人なら、アランが置かれている状況がどのようなのか思いを巡らせるはず。

サウジアラビアの女性とのメールのやりとりは、トム・ハンクス主演の「ユー・ガット・メール」を彷彿とさせ、これもその映画を知っているファンにはニヤッとするところかと。

ところどころにトム・ハンクスの遊び心が見られる場面があり、他の役者さんだったらこうはいかないだろうと思います。

やっぱりトム・ハンクスは面白い!

余談ですが、リドリー・スコット監督の大ヒット作『エイリアン』(79)のダラス船長役を演じたトム・スケリットや、『007 スペクター』(15)のQ役のベン・ウィショーがチラッと出演していて、何気に出演俳優が豪華!そこを見るだけでもおすすめです。


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 文化を繋げるキーパーソンのユセフ

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アランを仕事場まで車に乗せて行く運転手のユセフ (アレクサンダー・ブラック )。

ユセフはアメリカ留学の経験があり、サウジアラビアと西洋の文化の双方に精通している人物で、アランがサウジアラビアを理解するのにひと役かっています。

アメリカ留学を経験した彼がなぜ運転手なのか、疑問があるところですが、それでも外国人相手の運転手は他の仕事に比べたら給料が良いのでしょう。

車中で、ユセフが気を利かせて音楽をかける場面があります。

しかし、その音楽はアランの好みでは無く、彼が顔をしかめると、パッと音楽を消します。

このやり取りだけで、ユセフは気はいい奴なんだろうな、って思わせます。

ユセフは陽気だけど、ときどきドキッとすることをサラリと言い、またそのギャップが微妙に怖い。(そこが面白いところでもあるんですが)

 サウジアラビアって文化が本当に違うなぁ、と感じます。

もっとわかりやすい笑いに変えることもできたのでしょうが、このご時世にそんな表現をしようものなら炎上すること間違いなしでしょう。

あえてこの題材をこの時代に映画にしたことは挑戦だったのではないかと思います。

 

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 タイトルの「王様のためのホログラム」(A Hologram for the King)が面白いなと思っていたのですが、本当にホログラムを売りに行く物語でした。

でも映画を見て、やっぱりホログラムという言葉がひかかって、意味を改めて調べると「光源の反対側よりホログラムを透視すれば物体の虚像が見える」という一文がありました。

虚像が見える。。。

虚像とは「実際とは異なる、作られたイメージ」「発散した光線を逆向きに延長してできる像」とあります。

私にはラストシーンがアランの作りだした想像の世界のように感じました。

そう思わなければ、なんとなく負に落ちないような余韻の残る映画でした。