映画「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります 」を見ました。
あらすじは、画家の夫アレックス( モーガン・フリーマン)と元教師の妻ルース(ダイアン・キートン)と老犬1匹、彼らが長年暮らすのは、眺めの良いブルックリンのマンション。
しかし、エレベーターが無いため年と共に階段の上り下りが大変に。
さらなる高齢化に備えて今のマンションを売って、エレベーター付きのマンションに引っ越そうと考えます。
折しもニューヨークの不動産は高騰しており、40年住んだ中古マンションが100万ドル!と莫大な金額で売却できる見積もりもあってルースは乗り気です。
しかし、アレックスは渋り気味。
果たして彼らのマンションは売れるのか!?という映画。
私はアメリカのドキュメンタリー番組が好きで「Million dollar listing new york」という不動産ブローカーが高級不動産を仲介する番組を見ています。
この映画の背景がまぁまぁわかるつもりです。
ニューヨークの不動産はずっと高騰し続けていて、市場が過熱しています。
この映画はそんな不動産の状況に「ちょっと待った!」なメッセージを送っていると思います。
確かに老夫婦にこのマンションは不便かもしれないけど、気に入っているし、ニューヨークを離れる気が無いのになぜ手放すの?
そう言われればそうだ。
アメリカの不動産はブローカーと売却したい客が個人契約をして、売却額の何%かが彼らの利益になります。
売れば売ったぶんだけ儲かるので、ブローカーはとにかく必死!
日本のシステムとはかなり異なります。
ふたりのマンションを仲介してくれる姪っ子の敏腕不動産ブローカー(シンシア・ニクソン )は親戚のよしみで親身に動いてくれているかと思いきや、何のことは無い、手数料が欲しいのです。
そういった背景を知らないと面白味がわからない点もあるかも。
モーガン・フリーマンとダイアン・キートンの夫婦の様子がとっても自然。
長年連れ添った本当の夫婦のような空気が流れています。
ルースはお人よしな性格で、感情的に流されてしまうのだけれど、アレックスは冷静で厳しい判断をするタイプ。
アレックスは画家で生計を立ててきたこともあって、駆け引きなど修羅場をいくつか経験してると見ました。
夫婦がお互いに不足しているところを補いながら、共に困難を乗り越えていく姿がサラリと描かれていて素敵です。
アレックスとルースが結婚した当時は、黒人と白人のカップルは珍しく、どちらかというと好ましくないことでした。
ふたりの若かりし頃の回想シーンも丁寧に描かれていて、ふたりの歩んできた人生が垣間見れるのも興味深いです。
そんな過去のふたりを見つつ、マンションの内覧会にレズビアン・カップルがやってきたときには、時代が変わったなぁと改めて感じたり。
この映画には立ち止まって考えさせられる場面がちょくちょく出てきて、何度も見返しても新たな発見がありそうです。