Netflixをチエックしてたら、あ、これ見たかったやつだ、と発見したのがビル・カニンガム&ニューヨーク
80歳を過ぎてもニューヨークの街角でファッションを撮り続けるビル・カニンガムのドキュメンタリー
徴兵されるまで帽子のデザイナーだったビル・カニンガムには、ファッションに対する独自の「目」を持っていて、何がいい、何が良くないと即座に判断してシャッターを切っていく。
ビル・カニンガムは、みんなファッションセンスは持ち合わせてるんだけど、それを着て表現する勇気が無いんだよね、と。
そうだね。奇抜な格好や人と違うファッションは、注目を浴びてしまうから、いいなーと思っても自分はなるべく目立たない格好でおさまってたりする。
ビル・カニンガム&ニューヨーク
ニューヨーク・タイムズ紙の人気ファッション・コラム「ON THE STREET」と社交コラム「EVENING HOURS」を長年担当するニューヨークの名物フォトグラファー、ビル・カニンガム。ニューヨークの街角で50年以上にもわたりファッショントレンドを撮影してきたニューヨークを代表するファッション・フォトグラファーであり、ストリートファッション・スナップの元祖的存在だ。しかし、彼自身については謎につつまれており、親しい業界人でさえ彼のプライベートを知る者はほとんどいない。そんなカニンガムにリチャード・プレス監督が8年がかりで撮影交渉し、撮影と編集に2年、通年10年の制作期間を経て完成した本作で、カニンガムの知られざる私生活や仕事ぶりが初めて明かされた。雨の日も風の日もニューヨークのストリートに自転車で繰り出してはファッションスナップを撮り続け、夜になればチャリティーパーティーや社交界のイベントに出かけて行き、ときにはパリのファッション・ウィークにも遠征し撮影する。その鋭いセンスと独自の着眼点が、世界中のファッション・ピープルから注目され、84歳の現在でも現役ファッション・フォトグラファーとして多大な影響を与え続けている存在だ。
しかしビル自身はいつもお決まりのブルーの作業着姿で、雨の日にかぶる安物のポンチョはやがて破れてしまうからと、新調することもなくテープで修繕して着続けている。コーヒーは安ければ安いほど美味しいと言い、ニューヨーク・タイムズ紙の写真家としての客観的な立場を保つために、パーティー会場では水一杯すら口にしない。
ビル・カニンガムが夢中でシャッターを切っているのを見て、ものすごく情熱を感じとることができる。
こんな風に50年以上もシャッターを切れるなんて、まさに天職!
突然の雨にビニール袋をかぶった女性もビル・カニンガムが作り上げた誌面を見れば、瞬く間に違う目で見ることができるのもまた楽しい。
ビル・カニンガムはこだわりをいくつか持っていて、例えば上着はいつもブルーの作業着。
フランスの清掃員が着るもので、ホームセンターに売ってるような代物だ。
これには理由があって、撮影しているうちにすれて穴があいちゃうのがわかってて、どうして高い上着を着る必要があるの?と。そりゃそうだ。
ビル・カニンガムは街角に立つだけでなく、パーティーなどの写真も撮る。
そこにもこだわりがあってチャリティーパーティーにしか出向かないし、誰が出席しているかは関係ないと言う。
そういうビル・カニンガムのこだわりに共感するのもまた楽しい。
私はこだわりが薄いほうだと思うのだけれど、彼にこれほど共感してしまうというということは意外とそうでもないのだろうか?
でも、こうしてみると些細なことでもこだわりを持つのはクリエイティブな仕事をする人には必要なことだと感じる。
そのこだわりが制作物ににじみ出るのだ。
ビル・カニンガムの人柄や、ファッションの目に惹かれた人が大勢いて、今のビル・カニンガムがあるのだと思う。
80歳オーバーになった今でも彼が求められるのがわかる気もする。