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ラブホテルが廃墟になるまで「ホテルローヤル」桜木 紫乃


直木賞の記者会見で著者の桜木 紫乃さんが「実家がラブホテルでよかったです!」と言っていたのが印象的だったホテルローヤルを読んでみました。

それにしても、どうしてこんなにうす気味悪い装丁にしてしまったのか。

まるでホラーやサスペンスのよう。

作品を読んでみると、ホテルローヤルの時を遡っていくという、面白い構成となっていました。


ホテルローヤル
恋人から投稿ヌード写真撮影に誘われた女性店員、「人格者だが不能」の貧乏寺住職の妻、舅との同居で夫と肌を合わせる時間がない専業主婦、親に家出された女子高生と、妻の浮気に耐える高校教師、働かない十歳年下の夫を持つホテルの清掃係の女性、ホテル経営者も複雑な事情を抱え…。

ホテルローヤルを通じて、どんな人間模様が繰り広げられていたか。

ホテルローヤルのエピソードは週間雑誌の片隅に掲載されているような小さなゴシップ記事を掘り下げたようなもので、読み物としては興味をそそられるものがありました。

最終的にはどうやってホテルローヤルが建ったのか、そしてその名前の由来がわかります。

思えば、昔に流行した場所が、時を経て廃れてしまい、昔の面影も無くしてしまうことってよくあります。

そういった場所に思い出があると、かつての色鮮やかだった頃を懐かしく思い、そして時がそれだけ経過したことを知り、自分も歳をとったなぁ、と寂しさをも感じるものです。

作品の全体的な暗さの中に、最後でバカップルが幸せそうにしている姿が浮き彫りになるのが印象的でした。


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