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家族と、恋人と、そして友達と「あなたは、誰かの大切な人」原田マハ(読書感想)

タイトルのあなたは、誰かの大切な人から、恋愛的な甘い話を想像していたのですが、家族愛、友情愛といったようなほわんと少し心に沁みるようなお話でした。

「最後の伝言」はコミカルな要素を含んでいて「母の死」のお話しなんですが、読んだ後には清々しい気持ちになりました。

「月夜のアボカド」は、お付き合いの長い相手とのお話しで、映画を見ているようでとても気に入りました。


あなたは、誰かの大切な人
家族と、恋人と、そして友だちと、きっと、つながっている。大好きな人と、食卓で向かい合って、おいしい食事をともにする―。単純で、かけがえのない、ささやかなこと。それこそが本当の幸福。何かを失くしたとき、旅とアート、その先で見つけた小さな幸せ。六つの物語。

原田マハさんのキリリとした文章が好きです。

そして六本木ヒルズ森美術館でキュレーターとして活躍していたので、美術関係の描写が素晴らしいです。

ところがその枠を出てしまうと、途端に薄っぺらく感じてしまう。

あなたは、誰かの大切な人では6編の短編で構成されており、美術関係には饒舌なほどに描かれていますが、その他については、ところどころひねり出したような感覚を覚えました。

「メキシコ」に関係するお話しが2編あったり、微妙に女性の職業がかぶっているように感じたり、短編集としてのランダム感にはやや欠ける印象ですが、それでも原田マハさんのキリッとした文章に最後まで楽しんで読めました。

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