先日、小説を発表したことが話題になった又吉直樹さん。
なぜ小説が文學界 2015年 2月号 に掲載されることになったのか、という理由にエッセイに才能を感じたから、と編集者さん。
そこで思い出したのが東京百景でした。
東京百景 (ヨシモトブックス)
ピース・又吉直樹、すべての東京の屍に捧ぐ。「東京は果てしなく残酷で時折楽しく稀に優しい」いま最も期待される書き手による比類なき文章100編。自伝的エッセイ。
東京百景が発売されたときに、又吉直樹さんが太宰治が好きでその作品「東京八景」にちなんで自分なりの東京を書いたと言っていました。
へー、なんだか面白そうだな、と思ったものの、そのまま忘れていたので今回読んでみることにしました。
実際に本を手に取って見ると、少々小ぶりな大きさが手にしっくりと馴染みます。
そして古本屋さんにありそうな古めかしいデザインにこだわりを感じます。
又吉直樹さんは夏葉社の昔日の客の装丁の話をラジオでしたことがあって、本そのものが好きなんだなぁと思いました。
内容は過去の出来事を書いたエッセイなのかな、と思ったんですけれど、川端康成の片腕にみられるような幻想小説のようなところもあります。
この場合は「妄想」といったほうが正確なのかな。
これは太宰治をはじめとするさまざまな作家の影響もあるとは思いますが、いちばんはせきしろさんの影響を受けているのではないかなと思います。
先日も紹介した「まさかジープで来るとは」のように一緒に本を出版されていますしね。
独自の世界観はとても面白いですが、エッセイを読んでいる心構えの私は妄想部分に「ん?」とつまづきやすく、ネガティブなオーラを受けて読んでてやや疲れます。