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自由な韻律で詠む自由律俳句の世界「まさかジープで来るとは」せきしろ×又吉直樹


ピースの又吉直樹さんが文學界 2015年 2月号 で小説「火花」を発表したことを受けて、あ、あの本読んで無かったかな、と思い出したのが「まさかジープで来るとは 」です。

こちらは五七五の形式を破り自由な韻律で詠む自由律俳句というカタチで日常のふとした気づきを、各々の観点で読んでいます。

「うた」が苦手な私でもこれなら読めそうだと思ったのが、題名の「まさかジープで来るとは 」です。

パッとこの印象は「温厚そうな人物が車を出してくれるというので、ファミリーカーか何かだろうと思っていたら、当日ジープでやってきた」という意外性と驚きがギュッと凝縮されていると思います。

その一文から、いろんなことが読み取れそうな自由律俳句は、なかなか面白いです。

まさかジープで来るとは 」に習って、オリジナルの俳句も簡単に作れそうですね。

「まさかバイクで来るとは」


まさかジープで来るとは (幻冬舎文庫)
後追い自殺かと思われたら困る」(せきしろ)、「耳を澄ませて後悔する」(又吉直樹)など、妄想文学の鬼才せきしろと、お笑い界の奇才「ピース」又吉が編む五百以上の句と散文。著者撮影の写真付き。五七五の形式を破り自由な韻律で詠む自由律俳句の世界を世に広めた話題作『カキフライが無いなら来なかった』の第二弾。文庫用書き下ろしも収載。

また、せきしろさんと又吉直樹さんがページを代わる代わる自由律俳句を披露していて、何ページが読んでいくとそれぞれに着目する点が似ているようで異なるのがよくわかります。

せきしろさんのほうが、場面を想像しやすく、クスッと笑えるものが多かったです。

又吉直樹さんはご自身の感情や、受けた出来事を表現していることが多く、独特の世界観を醸し出しています。

また、俳句を補うかのようにエッセイもいくつか収録されていて、その内容も面白いですし、俳句ばかりの短い文面に飽きそうになった頃に読めるようになっています。


人によっては「だからぁ?」って思う内容だとは思います。

題名を見て「でっ?」と冷ややかな気持ちを持った人には面白味のない本だと思いますし、その題名から面白そうなニュアンスを感じた人には楽しめる本だと思います。

まぁ、この本は実は2冊目でして、1冊目は「カキフライが無いなら来なかった」という題名です。

これもまたドラマを感じる題名です。

カキフライというものが美味しいお店というものはなかなか無いと思うんですよね。

だから「カキフライ」というキーワードはなかなか奥が深い。

カキフライが食べたくなって、以前に食べた心当たりのあるお店に行ったところ、カキフライが無かった、、、それならわざわざここまで足を運ばなかったのに、というウキウキしてやってきた気持ちが一気に谷底に貶められるその感じがよく出てると思います。


カキフライが無いなら来なかった (幻冬舎文庫)
「雨と冷蔵庫の音に挟まれ寝る」(せきしろ)、「転んだ彼女を見て少し嫌いになる」(又吉直樹)など、センチメンタル過剰で自意識異常な世界が広がる。五百以上の句と散文、著者二人の撮影写真から構成。文庫用書き下ろしも収載。