今秋公開の福山雅治主演「そして父になる」が話題の是枝裕和監督。
映画「歩いても歩いても」が良かったので、小説も読んでみました。
主人公は阿部寛さん。
この映画はコメディではないのですが、阿部寛さん,樹木希林さん、YOUさんらが日常風景に生じるユーモアを見事に演じているので、クスッと笑えるところが多々あります。
苦笑い、と言うほうが正しいかもしれませんが、見て楽しめる人と、身につまされる人と極端だと思います。
この映画は「渋味」がたっぷりで、昭和な日本人の家族の物語。
子供たちの帰省に振舞う天ぷら、お寿司の出前、素直じゃない親父、忍び寄る両親の老い、姉夫婦とその子供、お墓参り。
ふとしたときに「毒」が放たれる。それは家族だから出る「毒」。他人にはいい顔してるからね。
ちょっとしたことで場が凍りついたり、和んだり「あるあるな風景」が繰り広げられます。
歩いても歩いても [DVD]
家族のことを想う時、何度でも観たくなる映画です。
阿部寛、夏川結衣、YOU、樹木希林、原田芳雄ら豪華競演によって描かれる極上の“ホームドラマ”夏の終わりに、横山良多は妻と息子を連れて実家を訪れた。
開業医だった父とそりのあわない良多は失業中のこともあり、ひさびさの帰郷も気が重い。
明るい姉の一家も来て、横山家には久しぶりに笑い声が響く。
得意料理をつぎつぎにこしらえる母と、相変わらず家長としての威厳にこだわる父。
この映画を見て、苦々しい思いをしたなら、自分に覚えのあることだからじゃないかな?
この家族は自慢の長男を亡くされていて、それが無ければもっとほがらかな家族だったのではないかと思い、
ちょっと切なくなりました。
GONTITI(ゴンチチ)の音楽が効いていて、ひと夏の思い出の楽しさや過ぎ行くはかなさがグッときます。
長男の死が無念でずっと囚われている両親が生み出す毒は、次男や姉の人格形成や人生に大きな影響を与えているのですが、
もしも、この両親が悲しみを乗り越えて「生」に目を向けたなら、もう少し豊かな人生を送れたのではないかなと思わされました。
時が止まったままの兄の部屋、物置と化された次男の部屋。
次男がふてくされる気持ちもわかります。
小説は監督自ら書かれているのも興味深く、映画で語られていない背景が浮かび上がり、なるほど、と理解が深まり読んで面白かったです。
映画を見る前よりも、見た後に読んでよかったと思いました。
この映画を見たら今年の夏の帰省はどうしようかと、ぼんやり考えるのではないでしょうか。
歩いても歩いても
得意料理を次々にこしらえる母と、相変わらず家長としての威厳にこだわる父親。
開業医だった父とそりの合わない横山良多は失業中のこともあり、ひさびさの帰郷も気が重い。
映画「歩いても 歩いても」サウンドトラック
オリジナル・サウンドトラック。ゴンチチの優しく心地よく漂うアコースティック・メロディがしっくり馴染んでいる作品