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恋愛に不器用なはずの女性が実は・・・、恋愛中毒・山本 文緒


先日に読んだひとり上手な結婚 で、恋愛は小説恋愛中毒で充分向かい合ったからもういい、というようなことを書いていたのが気になって、恋愛中毒のレビューを見ても評判がいいし、これは読んでみようという気になりました。

数行読んでみると、次はどうなるんだろう?と展開が気になる面白さがあります。

青年が主人公かと思いきや、途中で冴えない中年女性にシフトしていくのに、ほぉ、と思い、その女性が人生の岐路に立ち、ふたたび、ほぉ、と先へ先へと読むスピードがはやくなっていきました。

冴えない中年女性の話なんてさほど興味が持てないはずなのに、見ずにはいられない特徴的な顔を持つ人を何度も見てしまうような、そんな好奇心が沸きます。

また、先日のひとり上手な結婚 山本 文緒さんのお話を思い出し、これは本人の体験に基づいているのか?と感じるほど、生々しさを感じたり。


恋愛中毒 (角川文庫)
いつになったら、私は自由になれるのだろう。恋愛小説の最高傑作。

世界の一部にすぎないはずの恋が私のすべてをしばりつけるのはどうしてなんだろう。もう他人を愛さないと決めた水無月の心に、小説家創路は強引に踏み込んで――。吉川英治文学新人賞を受賞した恋愛小説の最高傑作。

小説家創路の女性の扱い方が、身勝手なようで男らしくもあり、女性が彼に惹かれていく様が見事で、普通のおばさんも機会があればこうして異世界にどっぷりとハマってしまうのかもしれない、と感じられました。

また恋愛に不器用なはずの中年女性が、実は、という最後に二度目は違った視点で読めそうです。

林真理子さんによる解説も良く、作品の理解にひと役かってくれます。

林真理子さんが吉川英治文学新人賞の選考委員だったとあり、なるほど世界観に通じるところがあるかもしれない、とも感じました。


プラナリア (文春文庫)
山本 文緒 第124回(平成12年度下半期) 直木賞受賞
乳ガンの手術後、何をするのもかったるい25歳の春香。この洞窟の出口はどこにある? 働かない彼女たちに現在を映す恋愛小説集